第5話

毎日公園に行き、航太と友達の遊んでいる姿を見るのが宮島の生き甲斐と成っていた。


生活に余裕のある宮島は、子供達に食べせるオヤツと飲み物を買い込み、公園へ向かう。


子供達は泥泥になり、走り回る。喉が渇くと宮島の元へ来て、ジュースを飲んでお菓子を食べる。


最近では、航太の友達のママ達も公園へ来て宮島と喋る様になり、子供達の母親の顔を知っている近所の出前持ちや酒屋の息子が配達の途中で、話に加わる事も度々ある。


宮島の周りはいつも、何だかお花見の様に成っていた。


「宮島さん、こんにちは」


町内の人も宮島に声を掛けてくれる。


「たまには、コーヒーでも飲んでいけば?」


「また、今度ご馳走になります」


航太と出会ってもう1年が過ぎた…。


航太は2年生になった。


宮島は今、人生で1番楽しんでいた。



相変わらず航太の友達のママ達が井戸端会議の延長で、宮島の座るベンチの周りに集まって来る。


「ミヤッチ、こんちは!」


若いママ達はノリがいい。


「何あんた、ミヤッチって呼んでるの?」


「そうよ、だってミヤッチじゃん」


「ならあたしはヒデちゃんって呼ぶー」


とまあ、こんな調子だ。


「ミヤッチ、最近お菓子買い過ぎだよ。子供が夕飯食わなくなっちゃうよー」



「ゴメンゴメン、気をつけるよ」


「ってさぁ、有り難い事なんだけどねー」


「そうそう、子供達、遊ばせといても安心だしねー」


「んー何の話?」


「あら、美紀ちゃんおかえりー」


美紀もママ友たちとすっかり仲良くなっていた。



「ミヤッチにお礼と文句を言ってたの」


「ん?なんだそりゃ…」


「まぁヒデちゃんには感謝してるって話だよ」


「ミヤッチにヒデちゃん?」



宮島は満更でもないみたいにニコニコ笑っていた。


「まいど!キレイドコロがなんの悪だくみ?」


「こら!酒屋!悪だくみだと?」


配達途中の酒屋の息子が話に加わる。


「お前そうだから、もてないんだぞ」


「ひでぇな、俺だって…」


「俺だってなんだよ…彼女いないだろ?」


ママ達は容赦無い。


「宮島さん、そろそろビールとお米無くなる頃じゃないっすか?」


「こいつ、無理矢理、話題を変えて商売にもっていきゃがったな…只者じゃねぇ」


「あはは…急がないけど配達頼むよ」


「まいど!では、皆さまご機嫌よう」


「って、なんなんだあいつは…」


「酒屋です…」


子供のひとりがツッコミを入れた。


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