第6話 来宮殺人事件

 別所は独自に調査を開始し、犯人は脅迫状の文面から自分の作品に対する異常なまでの関心を抱くインテリであることを察知した。 

 赤坂に赴き、豪太の死体発見現場にも程近いところに屋敷を構える書評家、吉川六郎に疑惑の目を向ける。

 以前、テレビ番組で吉川が『黒狼病』を坊城ポールの『黒老館こくろうかん殺人事件』に似ていると辛口コメントしていたことを思い出した。

 

 つくば山の坂にある、大樹が鬱蒼と茂る『黒老館』。その中にあるトイレで住職である観柳かんりゅうは死んでいた。座位姿勢のまま、しかも数珠を提げ合掌したままという奇妙な死体である。さらに、頭部の創傷は頭蓋縫合部に一致し、鏨状に開けられた傷口からは凝結した流血が盛り上がっていた。現場の残された足跡は、被害者のもののみ。

 別所はまだそこまでしか読んでいない。

 ただ単にタイトルが似てるだけだろ!?


 9月29日

 この日、吉川は来宮きのみやに旅行に出かけた。

 別所は旧友の増上寺と尾行した。増上寺は食品工場で働いていたが派遣切りに遭って、今は無職だ。

 来宮駅は相対式ホーム2面2線を有する地上駅。当駅構内の伊東方には上り・下り本線の計2本を横断する第1種踏切「上多賀踏切」が存在する。


 各ホームには内方線付き点字ブロックが設置されている。


 駅舎は1番線ホームに面しており、2番線ホームとのアクセスには地下通路を使用する。地下通路には各ホームを結ぶ車椅子対応エレベーターは存在しない。


 改札口には、きっぷ回収箱、簡易Suica改札機、Suica対応の自動精算機・多機能券売機のほか乗車駅証明書発行機が設置されている。


 改札外には伊東線に関する情報の表示のみに対応した運行情報・時刻表ディスプレイが設置されており、列車運行情報サービス「どこトレ」と同様の内容に加え、当駅を発車する上り・下り列車の初電から終電までの時刻表が確認できる。


 トイレは改札口を出て左に曲がると進行方向左側にある。多機能トイレは存在しない。


 公衆電話は改札口を出ると進行方向右側にある。

 

 来宮には起雲閣きうんかくがある。静岡県熱海市昭和町4-2にある近代建築。熱海市指定有形文化財。1919年(大正8年)に建築。元は実業家根津嘉一郎、農商相・内田信也の別邸であった。後に日本観光株式会社が取得し旅館として営業していたが2000年(平成12年)に日本観光が自己破産、以降は熱海市所有の観光施設となっている。

 日本近代建築の特徴を備えており、暖炉やガラスの採光、そしてローマ風呂といった大正時代以降のモダンな建築様式が残っている。


 新藤兼人・乙羽信子などが建物を活かした映画撮影を行い、旧き良き時代を演出している。

 

 深夜、別所はアシスタントの増上寺とともにホテルに侵入を図るが、二手に分かれた増上寺の目の前で、吉川は頭を斧で割られて殺害され、別所も鈍器で頭を殴られ気絶してしまう。


 あまりの危険におそれをなした別所は、病院に見舞いにやって来た本田に推理作家を辞めることを宣告した。

「そりゃあ残念だ。いつ退院できるんだ?」

「1週間以内には……」

 病院を出たところでケータイにメールが届いた。

《着いたよ》  

 相手は姫島美幸だ。本田の元を美幸が訪れる。美幸の新しいカレとは本田だったのだ。

 本田は美幸と熱海梅園で待ち合わせていたが、白昼堂々何者かに腹を滅多刺しにされ殺害された。

 熱海市街地の中部の山側、JR来宮駅の西方、県道11号(熱海街道)沿いにある初川流域の4.4haの縦長でなだらかな斜面を敷地として所在しており、梅類が59品種472本(早咲き272本、中咲き104本、遅咲き96本)、楓類380本、松・楠等134本、その他各種の植物が植えられている。また様々な碑・建物などが建てられている。


 出入り口は南方の正面入口、西方の澤田政廣記念美術館、東方の香林亭横広場の3箇所。


 基本的に年中無休・無料開放であり、澤田政廣記念美術館のみが有料(大人320円・中高生210円・小学生無料)だが、1月上旬〜3月上旬の「梅まつり」期間だけは、混雑対策のため8:30~16:00の間のみ有料(一般300円、団体(11名以上)200円、市民・別荘所有者・市内宿泊者100円、中学生以下無料)になっている。

 

 本田は雨宮敬次郎あめみやけいじろう翁碑にもたれかかるようにして死んでいた。雨宮敬次郎は熱海~小田原間に豆相人車鉄道を敷設した実業家だ。


 10月1日

 郵政民営化に伴い、日本郵政公社が解散。日本郵政株式会社を持株会社として、郵便事業株式会社、郵便局株式会社、株式会社ゆうちょ銀行、株式会社かんぽ生命保険、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構が発足。

 

 この日の深夜、吉川の殺害現場を再び訪れた増上寺も自動車の中で絞殺された。


 10月3日 - 警視庁、宮城県警察、福島県警察の合同捜査本部、エル・アンド・ジーを出資法違反容疑で強制捜査。同社による『円天』について詐欺およびマルチ商法の疑いも。


 私立探偵の永倉一は、静岡県警の楠木恒夫の依頼で来宮にやって来た。列車から降り、ケータイの時計を見た。『13:01』

「腹減ったな〜」

 永倉の隣には弁護士の松永靖子がいた。

 靖子は石原さとみみたいな顔をしていたが、整形して、余貴美子よきみこみたいな顔になっている。

 靖子は歴ヲタだ。

 永倉の祖先、永倉新八は松前藩江戸定府取次役(150石)・長倉勘次の次男として、同藩上屋敷(江戸下谷三味線堀、現・東京都台東区小島2丁目)にて生まれる。弘化3年(1846年)、岡田利章(3代目岡田十松)の神道無念流剣術道場「撃剣館」に入門。しかし、4年目に師が亡くなり、以後、岡田助右衛門に教わり15歳で切紙。安政3年(1856年)、18歳で本目録。元服して新八と称する。同年、剣術好きが昂じて脱藩し、永倉姓を称して江戸本所亀沢町の百合元昇三の道場で剣を学ぶ。その後、市川宇八郎(芳賀宜道)と剣術修行の旅に出る。江戸に戻ると、心形刀流剣術伊庭秀業の門人・坪内主馬に見込まれて道場師範代を務め、そこで門下生だった島田魁と知り合う。その後、近藤勇の道場・天然理心流「試衛館」の食客となる。


 近藤らと共に浪士組に参加。新選組結成後は、二番組組長や撃剣師範を務めるなど中枢を成した。元治元年(1864年)の池田屋事件では、近藤や沖田総司らと共に池田屋に突入。沖田が昏倒し、藤堂平助が負傷して離脱、永倉も左手親指に深い傷を負った中、防具がボロボロになり刀が折れるまで戦った。事件後、新選組の勇名は天下に轟いた。その後、近藤に我儘な振る舞いが目立つようになると、これを遺憾とした永倉や斎藤一、原田左之助、島田魁、尾関政一郎、葛山武八郎は、脱退覚悟で近藤の非行五ヶ条を会津藩主・松平容保へ訴え出る等、近藤勇・土方歳三との路線対立を見せる。後、幕府から見廻組格70俵3人扶持(京都見廻組隊士と同格の地位)に取り立てられた。油小路事件では、原田らと共に御陵衛士を暗殺。


 慶応4年(1868年)の鳥羽・伏見の戦いでは、決死隊を募って刀一つで突撃する豪胆さを見せた。江戸に退却後、新選組改め甲陽鎮撫隊として板垣退助率いる御親征東山道先鋒総督軍(主力部隊は土佐藩迅衝隊)と甲州勝沼の戦いで戦うが撃破されて江戸へ敗走。江戸へ戻った後は近藤らと意見衝突して袂を分かつ。その後、靖兵隊(靖共隊)を結成し、北関東にて抗戦するが、米沢藩滞留中に会津藩の降伏を知って江戸へ帰還し、その後、松前藩士(150石)として帰参が認められる。明治4年(1871年)、家老・下国東七郎のとりなしで藩医・杉村介庵(松柏)の娘・きねと結婚して婿養子として松前に渡る。


 明治6年1873年、家督を相続して杉村治備(後に義衛)と改名する。その後は北海道小樽へ移る。警察官僚・月形潔の招きで、明治15年(1882年)から4年間、樺戸集治監(刑務所)の剣術師範を務め、看守に剣術を指導する。退職後は東京牛込にて剣術道場を開く。明治32年(1899年)、妻と子供が小樽市内で薬局を開いていたため、再度小樽へ転居。明治38年(1905年)から小樽市緑1丁目(旧小樽少年科学館付近)に転居。明治42年(1909年)7月、小樽市花園町に住む。東北帝国大学農科大学(現・北海道大学)の剣道部を指導する。


 大正4年(1915年)1月5日、虫歯が原因で骨膜炎と敗血症を併発し、小樽にて死去。享年77。墓所は小樽市中央墓地と札幌市里塚霊園、東京都北区滝野川の寿徳寺境外墓地(字は蜂須賀正韶侯爵)の3箇所がある。

 

 靖子は協力者、朱野一郎あけのいちろうとの会話を思い出していた。朱野は昔は運送屋の社長をしていたらしい。矢沢永吉やざわえいきちに似ている。靖子は永ちゃんの大ファンで、特に『黒く塗りつぶせ』が好きだ。

《『アルラウネ』のアジトを見つけたぞ》

「どこなの?」

《屋久島だ》

「屋久島って鹿児島の?」

《それ以外にどこがあるんだ?》

「やっと父の仇を討てるのね?」

《そう簡単には行かないかもな?》

「何で?」

《敵の数は20以上だ》

「そんなにいるの?」

《それだけじゃない。ゾンビなどの怪物を飼っている》

「こんなときに冗談はよしてよ……」

《冗談じゃない》


 駅から近いところにある蕎麦屋に入り、永倉は更科そばを、靖子は穴子天丼を頼んだ。

 ナカナカ美味かった。

 ミステリードラマのように事件現場を調べることは出来なかった。そのせいで真犯人は分からなかった。  

「金田一少年みたくは行かねーんだよ。一般人に現場見せるわけねーだろうが?」と、定年間際の枝野刑事が熱海梅園の前で立ちはだかっている。

「名前は俺も一なんだけどな?」

「楠木に頼まれて来たんだろう? アイツなら謹慎になった。オマエに操作情報漏らしたのがバレたんだ」

 枝野は楠木の部下だ。あまり快く思っていないようだ。

「上司を呼び捨てるのはよくないですよ?」

 靖子が横からしゃしゃり出る。

「いいから帰れよ」

 

 宿に行き、チェックインして荷物を部屋に置いて、遊びに出かけることにした。

 双柿舎そうししゃっていう静岡県熱海市水口町にある建築物を見に行った。坪内逍遥つぼうちしょうようが1920年(大正9年)から死去する1935年(昭和10年)までの晩年を過ごした。庭にカキの木が2本あったことから、早稲田大学での同僚である会津八一により「双柿舎」と命名された。


 坪内 逍遥(1859年6月22日(安政6年5月22日) - 1935年(昭和10年)2月28日)は、日本の小説家、評論家、翻訳家、劇作家。小説家としては主に明治時代に活躍した。代表作に『小説神髄』『当世書生気質』及びシェイクスピア全集の翻訳があり、近代日本文学の成立や演劇改良運動に大きな影響を与えた。

 

 建物は逍遥自身の設計になるもので、木造2階建てが2棟と、鉄筋コンクリート3層建ての書屋(仏塔の形に似た書庫)からなる。入り口の門には、会津の手によって書かれた「雙柿舎」の扁額が掛かる(「双」の字は旧字体である)。逍遥が住んでいた当時のカキの木は既に枯れてしまったが、代わりに、逍遥が10歳までを過ごした岐阜県美濃加茂市より移された蜂屋柿の木が2本植えられている。

 

 10月4日 - 日本で最も美しい村連合総会が長野県大鹿村で開催。

  

 午前10時過ぎ、伊東にある朱野邸にやって来た。

 庭に池があり鯉が泳いでいる。

 永倉たちは応接間に通された。和室で、龍が描かれた掛け軸が床の間に飾られてある。

「あっ、調所のこと知ってるよな?」と、朱野。 

「ええ。私の上司だった男です」と、永倉は言ってお茶を啜った。あまりにも熱くて舌を火傷した。

「つい昨日、病で亡くなった」 

 永倉は呆然とした。

 上司といってもあまり年齢は変わりない。掃除が雑だとか、現場で吐くなと叱られたりした。

「朱野さんは何でアルラウネを潰そうと思ったんですか?」

 永倉は尋ねた。

「妻がアルラウネに入信していてな? そのせいで娘が焼身自殺したんだ」

「嫌なことを思い出させてすみません」

「胃がんを患ってな、あまり長くはないんだ」

「奥さんがですか?」

「私だよ。だから、こいつを君たちに託すよ」

 朱野は押し入れをあけて、ダンボールから何かを出した。それは光り輝く赤い玉だった。

「それは何です?」

 靖子は痺れたので足を崩した。

「私がこの玉を見つけたのは去年の七夕の日だ。赤龍せきりゅう町にある竹林で見つけた」

 赤龍町は黒狼市の隣りにある。

「それからしばらくした夏の午後、赤龍駅の近くで私は石で出来た狐に追いかけられた」

 石妖せきようって妖怪の話を永倉は思い出した。母方の祖母が子供の頃に教えてくれた。

 豆洲(現・静岡県)の山中での石切り場でのこと。昼時になったので、石を切り出していた石工たちはみな休息をとっていた、すると1人の女性が現れ「毎日のお仕事でお疲れでしょう、私が按摩をして差し上げましょう」といって1人の石工の肩を揉んだ。すると石工は按摩がとても気持ちよかったと見え、寝入ってしまった。女性はさらに別の石工を按摩すると、その石工も寝入り、たちまち数人もの石工が按摩されて寝入ってしまった。


 残る石工はあと1人となったが、彼はその女を只者ではない、妖怪に違いないと見て、密かにその場を立ち去った。ちょうど猟師に出会ったので事情を話したところ、その猟師もやはり、その女性は狐狸の類に違いないと言った。2人が元の石切り場に戻ると、女性は2人を見て逃げ出そうとした。猟師が銃に弾丸を込めて女性を撃つと、女性の姿は消え、その跡には砕け散った石が残されていた。


 眠っている石工たちを見ると、背骨のところに石で引っ掻いたような傷ができており、病気になる危険性もあったが、家に帰ってから薬で手当てをしてどうにか助かった。あの女性は石の気が化けたものだろうといわれたが、その後もその女性はたびたび現われたという。

 

「その日は何とか逃げて助かった。さらに数日後、私はアルラウネの信者の1人をナイフで刺し殺した。兎田うさぎだっていう禿げた親父だ」

 兎田は朱野の奥さん、悦子えつこに虐待をしていた。兎田を殺した後、石妖に襲われたらしいがナイフで倒したらしい。

「警察はおろか、自衛隊すら石妖にはてんてこまいだったのに一般人の私がモンスターを倒せたのは、きっとこの赤い玉のお陰だ」

「それならゾンビとかも怖くないですね?」

 永倉は赤い玉を受け取った。

 朱野は悦子の写真を見せてくれた。どこかの居酒屋で朱野と肩を並べている。

「由美かおるに似てますね?」と、永倉。

「誰ですか? 政治家ですか?」

 靖子はあまりテレビを見ないらしい。

「『水戸黄門』知らない?」と、朱野。

 永倉はかげろうお銀を思い出していた。

 生年月日や年齢の詳細な設定は存在していないが、当初は少女らしい溌剌とした部分や若さ故の血気盛んな部分が強調されており、敵から「小娘」呼ばわりされることもあった。劇中の時間経過に伴い年齢設定が変更されていったキャラクターであり、シリーズが進むごとに溌剌とした少女から妖艶な大人の女性へと成長を遂げていくこととなった。

「どうか妻を助け出してくれ」

 朱野は涙目になって懇願した。


 10月5日 - 日本相撲協会、緊急理事会で、6月26日に序ノ口力士が死亡した時津風部屋の親方双津竜順一の解雇、北の湖理事長らの減俸処分を決定。部屋は所属力士時津海正博が引退、年寄時津風を襲名し継承、存続(時津風部屋力士暴行死事件を参照)。


 公安調査庁の毛野は伊東に旅行に来ていた。

 相模灘に面した伊豆半島の東岸中部に位置し、傾斜の厳しいこの半島において、伊豆東部火山群の影響で比較的に緩い傾斜地が多く、市南部はこの火山群の溶岩流によって荒々しい絶壁の海岸が多い。 この海岸や西端の山稜が富士箱根伊豆国立公園として指定を受けている。 市中部は戦後、別荘地として開発され、観光施設も集まるようになり、大室山の麓にある伊豆高原地域は半島東部でも有数の観光地として知られるようになった。 市内ではほぼ海岸沿いに東日本旅客鉄道(JR東日本)伊東線・伊豆急行伊豆急行線と国道135号が縦断している。


 公安調査庁は内閣官房内閣情報調査室、警察庁警備局、外務省国際情報統括官組織、防衛省情報本部とともに、内閣情報会議、合同情報会議を構成する日本の情報機関のひとつ。


 アルラウネへの観察処分の実施、周辺諸国などの諸外国や、国内諸団体・国際テロ組織に対する情報の収集・分析を行う。


 破壊活動防止法や団体規制法の規制対象に該当する団体であるかどうかの調査(情報収集)と処分請求を行う機関であり、調査活動の過程で入手した情報を分析・評価し、政府上層部に提供している。同庁公式サイトでは、業務内容を大別して「団体規制」と「情報貢献」として紹介している。


 公安調査庁が処分請求を行った後に、その処分を審査・決定する機関として公安審査委員会が設置されている。


 公安調査庁は、内務省調査局の流れを汲んでおり、特高警察関係者が創設に関与した。公安調査庁の活動は、調査対象者の行動確認、公開資料の収集・分析、協力者獲得など、純粋な諜報・インテリジェンス活動が主であるが、団体規制法第39条、第40条、第41条などにより、一定の強制力を行使できる。ただし、職員は特別司法警察職員ではないため、逮捕状、捜索差押許可状等を裁判所に請求したり、発付された令状を執行する権限は有しない。この点は、英国の情報機関である内務省保安局(MI5)やドイツの連邦憲法擁護庁と同様である。


 俗に秘密警察と呼称されることもある。伝統的な紋章としては法務省と同じ五三の桐を使用し、公安調査官が携帯し、その身分を証明するための「証票」の表面にも使用されている。

 

 毛野は湯の花通り商店街を散策した。

 伊東駅の出口(東側)から少し南下して、十字路的になっている場所から、猪戸ししど通りへと南東に向かって直線的に伸びている「湯の花通り」に形成されている商店街であり、猪戸通りに面する南東の出口の正面には、「キネマ通り商店街」の北西入口がある。(言い換えれば、「キネマ通り商店街」と伊東駅をつなぐ位置に、「湯の花通り商店街」がある。)


 メインとなる通りの直線部分だけでなく、駅側の入口周辺の店舗や、隣接するマックスバリュ伊東駅前店の裏側に回り込む通りの店舗も、商店街に含まれる。


「湯の花通り」は戦後の闇市から出発し、一時は「湯の花銀座通り」とも呼ばれていたが、現在の名前に落ち着いた。

 

 商店街では、七福神をシンボルとしてフィーチャーしており、商店街一帯に、お湯かけ(願掛け)ができる小型の七福神の石像が配置されている。

 石碑の前で哀川翔みたいな男性と、余貴美子みたいな女性がくっちゃべっていた。

「アルラウネを潰してくれるの?」

音恵おとえ、声が大きいぞ?」

 毛野は2人をマークすることにした。


 

 


 

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