すっすすすすむスムージー♪ すっすすすすむスムージー♪【KAC2023】
Cランク治療薬
すっすすすすむスムージー♪ すっすすすすむスムージー♪
「社長いよいよですね」
「ああ儂は心配でたまらんよ」
儂はしがない零細会社の社長。今日は我が社の社運を賭けたCMの放映日だ。社員は少ない予算でよくやってくれたと思う。このCMは予算がないためスタジオで一発撮りだという。予算もなければ納期までの時間もない、そんな地獄のようなスケジュールで彼女らはやり遂げた。そもそも企画会議の難航ぶり、迷走ぶりは噂に聞いている。でも儂は決めたのだ。若いもの達の感性を信じると。若いものが育たねばこの会社に未来はない。
「時間だ! 始まるぞ」
大画面に映し出された画面に我が社のロゴが出る。
「夢みたいだな」
筋肉にいいお料理教室の看板が背景にかかっている。
「「すっすすすすむスムージー♪ すっすすすすむスムージー♪」」
キャッチーな音楽とともに左からボディビルダーのマイケルさんが、右から我が社の広報のみいなが何かを回すような仕草で現れる。
「「すっすすすすむスムージー♪ すっすすすすむスムージー♪」」
「みいな! 僕ねボディメイクするのに食欲なくて困ってるんだ、どうしたらいいのかな」
「そんなの簡単よマイケル! 筋肉にいいものを食欲のわく形にすればいいのよ」
「じゃあ筋肉にいい食材を渡すからみいな料理してよ」
「わかったわマイケル!」
「はい豆乳! 豆腐! おから! ゆば!」
「いっくわマイケル氷を投入!」
「「すっすすすすむスムージー♪ すっすすすすむスムージー♪」」
「「はい! スムージークリーム味!!」」
座っていた椅子を蹴飛ばした。
「白いし! 食欲わかねーし!! 何よりクリームじゃねえ!!」
「「すっすすすすむスムージー♪ すっすすすすむスムージー♪」」
「ねえみいな? どうして筋肉にいい料理は飽きちゃうの?」
「それは料理のプロが作ってないからよ、私にまかせてマイケル!」
「はい鶏ささみ! たまご!」
「かまえてマイケル氷を投入!」
「「すっすすすすむスムージー♪ すっすすすすむスムージー♪」」
「「はい! スムージーたんぱく味!!」」
「料理否定すんなや!!」
儂は気がついたら吠えていた。
「「すっすすすすむスムージー♪ すっすすすすむスムージー♪」」
「みいな! 僕栄養バランスが気になるよ」
「私にまかせてマイケル。あれをとってきて!」
「はいプロテイン! 牛乳!」
「どーんとマイケル氷を投入!」
「「すっすすすすむスムージー♪ すっすすすすむスムージー♪」」
「「はい! スムージープロテイン味!!」」
机が消し飛ぶ。
「それはプロテインだろ!」
「みいな! 相談だけど」
「どうしたのマイケルもじもじして」
「筋肉もつけたいんだけどダイエットもしたいんだ」
「仕方ないな~マイケルの為にとっておきよ!」
「ありがとうみいな!」
「はい! 味タマゴ! 大根! がんもどき!」
「サクサク氷投入!」
「「すっすすすすむスムージー♪ すっすすすすむスムージー♪ すっすすすすむスムージー♪ すっすすすすむスムージー♪」」
「「はい! スムージーおでん味!!」」
「「ん~~タマゴはプロテイン!」」
「おでんで食わせろ〜い!!」
筋肉つけるなら~会社の名前がアナウンスされるが怒りで聞こえない。
「新作4種同時好評発売中!」
※効果には個人差があります
※効果を保証する物ではありません。
但し書きがやたらでっかく映し出されてCMが終わった。
「我が社はもう駄目だ……馬鹿を連れてこい」
「なんて言いましょうか」
「それはもちろん食べ物で遊ぶな。だ」
その時乱暴に社長室の扉が開けられた。
「大変ですっ社長。おでんスムージーがバカ売れです!」
何を言っているかわからず、こう呟いていた。
「もう社長引退しようかな」
「「すっすすすすむスムージー♪ すっすすすすむスムージー♪」」
テレビでは別の放送局から脳天気な歌が流れていた。
「どういうことなんだね」
「問い合わせと一部苦情の電話がなりやまないんです」
「みいなを呼べっ」
:::::::::::::::::::::::::
社長室に呼ばれるなんてなんだろ?
口癖になったフレーズを口ずさむ。
「すっすすすすむスムージー♪ すっすすすすむスムージー♪」
すっすすすすむスムージー♪ すっすすすすむスムージー♪【KAC2023】 Cランク治療薬 @c_rank_potion
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