湊の覚悟
(佐和の事…、真面目に考えたい…)
湊はようやくその覚悟ができた。
「…湊くんが、次に好きになる人は…、誰なんだろう」
佐和は湊の目を見た。
「…うーん…」
「私の知らない人…?」
「…わからない…」
「私じゃ、…だめ?」
「まだ、答えられない…」
湊は目をそらした。
「答えられない?」
「…うん」
「どういうこと?」
「未成年相手に、好きだとか嫌いだとか言えないから」
「…未成年」
「ごめん。そこ外せない…」
「………」
佐和は、自分ではどうやっても覆せない事実にショックを受けた。
「でも…、佐和のことは可愛いと思ってる…」
「…妹として?」
「妹としてじゃなくて…」
湊は佐和をチラッと見た。
「今はそれしか、答えられない。ごめん…」「ん…。わかった」
佐和は寂しそうではあったが、笑顔を作った。
「佐和。これ飲んだら出ようか」
「…じゃ、ゆっくり飲もう」
「うん」
そう言って湊はカップに手をつけた。
「…う、うん?!」
佐和は、バッと湊の顔を見た。
「うん」
「え?うん?!」
「うるさいよ」
湊は佐和の反応に笑った。
「佐和、次のランチはいつ行く?」
湊は、ハーブティーを飲みながら言った。
「え、いいの?」
「うん」
湊は佐和に対して、どっちつかずの対応に心苦しくも思っていたので、嬉しそうな佐和の顔を見てホッとした。
「じゃぁ、再来週の日曜日は?」
「うん。いいよ。たまにラーメンとか行く?」
「あ、いいね。ラーメン好き」
佐和は子供のような笑顔で言った。
「じゃ、そうしようか。佐和は、ラーメンはこってり派?あっさり派?」
「こってり」
「OK。見つけとく」
湊は佐和に優しく笑いかけた。
「湊くん…」
「ん?」
「その笑顔やばい…。心臓が…」
佐和は自分の胸を押さえた。
「ん?」
湊は面白がって、また佐和に微笑みかけた。
「んー…!もう!心臓がギュッと…」
「あははっ」
「ね」
「何?」
「私の事、本当に可愛いと思ってるの?」
「え…。まぁ、可愛いんじゃない?」
「じゃない?って?」
佐和は、湊の目をジッと見た。
湊の顔が赤くなった。
「…。もう出よう」
「あ、うん…」
湊は、椅子から立ち上がった。
「…思ってるよ」
「え」
「…わかんないならいい」
湊は佐和を睨んで、足速にレジの方へ歩いて行った。
(…今、私が思っていることが合ってるなら…。体から心臓が突き抜けるかも…)
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