湊のヤキモチ
日曜日。
湊は、スッキリしない毎日を払拭するため、前からしたいと思っていた、カフェ巡りをしていた。
運動不足の解消を含めてだったので、湊はひたすら歩いた。
大きな通りに出ると、たくさんの人がいて、その人の波にのまれることで、自分が消えたようで安心した。
湊は、カフェで紅茶を飲んでいた。
湊の席は通りがよく見える窓側だった。
本当はケーキセットを頼みたかったし、何ならパンケーキの店に行きたかった。
(…誰かと一緒じゃないと…)
湊は、佐和の顔が浮かんでいた。
(友達だって言ってたよな…。今度…誘ってみるか…?)
湊は片ひじをついて悩みながら外を眺めた。
湊が座ってる席から外を見ると、佐和が歩いているのが見えた。
(え…。どうしよ…。声かけ…)
心の声が一瞬にして止まった。
湊の知らない男が佐和に声をかけていた。
(ナンパ?!)
湊は会計も済んでないので、出て行きたくても行けない状況だった。
焦りながらも、とりあえず2人の様子をうかがった。
どうやら佐和と男は知り合いらしいことが、見ていてわかった。
(なんだ…)
湊はホッとした。
それから何となく2人を眺めていた。
(佐和って男友達多いのかな…。佐和の事、全然知らないや…)
湊は佐和にあんなに好きと言われていたのに、佐和の事を知ろうとしなかった事に申し訳なく思った。
(今度聞いてみよ…)
湊は暇を潰すように、また2人をボーっと眺めていた。
どうやら、2人はここで別れるようだった。
(偶然会って話しただけっぽいな…)
突然、男は佐和の方を振り向き佐和の肩をポンと叩いた。
(何?)
佐和が何か言うと、男は笑って次はグーで肩を軽く叩いていた。
そして2人は手を振って、今度こそ別れた。(何…あれ…)
湊の表情が曇った。
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