最低だよ
孝司は佐和の件で、湊とガストで会っていた。
「孝司、なんか食べる?」
「ううん」
「じゃ、ドリンクバーだけでいいか」
湊は、パネルで注文をした。
「湊君。佐和と1、2回デートして」
「え?」
「あと、1、2回デートして脈なかったら、諦めるって…」
「え?諦めてないの?」
「諦めてないよ」
「え?」
湊は驚きで目を見開いた。
「と、とりあえず、ドリンク持ってこよ…」
湊はふらふらと席を立った。
「佐和は、湊君とは話が合うって…」
「…そりゃ、合わないことはないけど。それだけで?」
「だけって事はないだろうけど…」
「えぇ…?」
「とにかくさ、デートして、振ればいいんじゃない?」
「孝司、お前には人の心はないのか…」
「湊君は、佐和に優しすぎなんだよ」
「……」
「ちゃんと、諦めさせてあげなきゃ」
「…やったつもりなんだけどな…」
「あとは、駿太にも頑張ってもらおう」
「そうだな…」
「ん?歯切れが悪いな…」
「…諦められないっていう気持ちが少しわかっちゃって…」
湊は、孝司に聞こえないようにボソッ言ったつもりが、孝司は聞き逃さなかった。
「それって…、絵理のこと…」
「ん」
「嘘だろ…。だって…、ずっと絵理とパブロ兄ちゃんの事、面倒見てくれてたじゃん」
「うん。別に無理してないし、本心でそうしてるよ」
「…それなのにまだ好きなの?」
「わからん」
「…だからって佐和にいかないよね?」
「バカ、いくわけねーだろ。痛すぎるだろ。彼女高校生とか」
「だよね」
「…幸せになって欲しいんだよ」
「そっか」
2人はしんみりした。
「で、あと1、2回デート。できる?」
「…なんで、そんなこと…」
湊は頭を抱えた。
「佐和のためでしょ」
「わざわざデートに誘って振るの2回も繰り返すの?」
「そう」
「…春乃をこんな、冷酷な男に任せていいのか…」
「だから、湊君の方が、冷酷だったんだって」
「…俺が、曖昧な態度を取り続けて、佐和を縛ってたから…」
「そうです。わかってんじゃん」
「…ムカツク」
「あと、春乃の事は、全部俺に任せて…」
湊は、孝司を思い切り睨んだ。
「怖っ…」
「何で、俺はお前の言う通りに動かなきゃいけないんだ…」
湊は悔しそうに言った。
「これが、絵理と、パブロ兄ちゃんをくっつけた手腕です」
「別れさせる手腕も持っているのか…」
「そうです」
「孝司ごときが…」
「ごとき?」
「お前なんて、自分の事はポンコツのくせして」
「否定はできない…」
「だろ」
「が、他人の事には、自信がある」
「その自信崩してやろうか…」
「どうやって?」
孝司はニヤッと笑った。
「佐和と付き合う…」
「サイテー」
「うん、最低だ…俺…」
※湊が絵理に片想いする経緯は、
前作『腹黒男子は遠恋中の彼女に片思い』
をご覧ください!
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