アンナとのデート?
「湊」
アンナが湊に向かって手を振った。
「お疲れ」
「遅れてごめんね」
「全然」
湊はアンナに笑いかけた。
今日は、仕事終わりに2人で飲む約束をしていた。
「お店、どこにしようか」
「私が知ってる創作イタリアンの店でもいい?果実酒が美味しいの」
「うん」
「良かった。じゃ、行こ」
「おしゃれな店だね」
「うん、前に来たことあって、美味しかったから」
2人は席に案内された。
「アンナは、お酒強いの?」
湊は、メニューを見ながら、聞いた。
「そんなには。3杯飲めば、結構酔っちゃう。湊は?」
「俺も、そんなに強くないと思うけど。ビールなら5杯くらいかな」
「十分強いと思うけど」
アンナは笑った。
「そうなのか…。俺、あんまり友達いないから、比較対象がいなくて…」
「あははっ。一緒に飲む友達は、もっと飲むんだ」
「そう」
「彼女ではないの?…あ、やだ、彼女…いるのに誘って大丈夫だった…?」
「あー、別れたから」
「え?」
「今日、飲みに行くって話したら、行かないでみたいに言われて…」
「それだけで…?」
「めっちゃ引いてるね…。もともと、ちゃんとは付き合えないって言ってあるのに、彼女みたいに、言われると…」
「彼女みたいって彼女なんでしょ?」
「ま、そうだけど、」
「…だいぶドライだね」
「…めっちゃ、引いてるね」
「うん」
「…バラさなきゃ良かった…」
「あはは。でも、今日、湊と飲めたから良かった」
「そう?」
「うん」
「何食べる?」
「おすすめある?」
2人は頭を近づけメニューを見る。
「前は、モッツァレラチーズのサラダと、このお肉が美味しかったけど…」
「じゃ、それと…。パスタ食べたい。アンナは何系が好き?」
「トマト系。っていうか、ペスカトーレ」
「あはは。俺も好きだよ。じゃ、それと、グレープフルーツ酒」
「ビールじゃないの?」
「せっかくだから、果実酒飲んでみる」
「合わせなくていいのに」
「ん?一緒に美味しいねーって言いたいでしょ」
「じゃ、私、ワイン」
「おいっ。じゃ、俺、ビール」
「ほら。好きなの飲もう?」
「中学の友達と会ってたりする?」
「…ん。1人だけ」
「…あ、好きな人?」
「…うん」
「誰なのー?」
アンナはニヤニヤしながら言った。
「内緒」
「ナオちゃん?」
「違うし、言わないって」
「ナナミ?」
「違う。きっと当たらない」
「ふ~ん」
「相手は、湊の気持ちに気がついてないんだよね?」
「うん、そう。いいのか、悪いのか…」
2人の前にお酒と料理が運ばれてきた。
「美味しいね」
「でしょ」
「アンナは?彼氏」
「いないよ」
アンナはワインを飲む。
「そっか」
「モテるんだけどね」
「あははっ。一緒」
「私らイタすぎない?」
「事実だからね」
「…客観的に見るとこんなイタいんだ…。気をつけよっと…」
「…そんなに?」
「湊はいいんじゃない?」
「いやいや、陥れようとしてない?」
いぶかしげに見る湊を見て、アンナは笑った。
「湊、お酒おかわりは?」
「ん。グレープフルーツのお酒にする」
「あはは。やっぱり飲みたくなった?」
「うん。こういう女子みたいなの好きなの」
「可愛いね」
アンナが湊を見つめて言った。
「アンナは相変わらず、綺麗だね」
湊はふざけたように言った。
「湊もイケメンになったね」
「全然」
「じゃ、何でモテるの?」
「優しいから?」
「どこが?すぐ、彼女と別れるくせに…」「…最初は優しいから」
「最低」
「最低かも…」
「アンナ、また誘ってもいい?」
ほろ酔い状態で湊は言った。
「いいけど…」
「けど?」
「遊ばれたくはないよ?」
「そんな事しないよ。元カノの中でアンナだけは、真剣だったんだから」
「キュン」
「あはは」
「…湊が昔好きだった子のこと、今も好きだったりする…?」
「…そうだね」
「そうなんだ…」
「バカみたいでしょ?」
「うん…。諦めなよ」
アンナは真面目な顔で言った。
「うん…」
「…人に言われてできるなら、こんなに引きずってないか」
「……」
湊は考え込むように黙った。
「どうしたの?」
「…佐和が…」
「佐和ちゃん?」
「いや…」(佐和が諦められないのって、こういうことか…)
「佐和ちゃんも彼女候補か」
「まさか。女子高生だぞ。……?も?って?」
「私」
アンナはニッコリ笑った。
「…嘘」
「嘘」
「昔から、アンナの嘘と本音は、全くわからないからな」
湊は笑った。
「違う」
「ん?」
「知ろうとしてなかったから」
「そんな事なかったけど…」
「私がそういうんだから、そうでしょ?」
アンナは中学時代から鋭くて、湊はちょいちょい気持ちを読まれていた。
「はい」
湊は観念したように言った。
2人は、笑った。
「次は、湊が店、探して?」
「うん」
アンナと湊の中学生時代は
☆腹黒男子は遠恋中の彼女に片思い
で描かれてます!
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