またね、駿太くん

「ね、佐和。久しぶりに会ったんだし、これからうちに来ない?」

「あ…、塾ある…。でも、久しぶりに春乃の家行きたいしなぁ…。あぁ…」

「あはは。そんなに悩まなくても。じゃ、塾ない日、ゆっくり遊びにおいでよ」

「うん…」

佐和は肩を落とした。

「…佐和、」

孝司が口を開いた所で電車が見えた。


「あ、電車くるね」

「そうだね」

「あれ?孝司、何か言ってた?」

「あー…。…また今度、春乃の家遊びに来なよ」

「遊びに来な?」

佐和はニヤニヤした。

「あ、遊びに行こうよ…」

「春乃の家はもう、孝司の家みたいなもんだもんね〜」

「間違えただけ」

「へー」

「ムカつくなぁ…」


「あの、じゃぁ、俺はここで…」

駿太が、恐る恐る声を発した。

「あ、駿太は行く?」

「どこに?」

「春乃の家」

「行くわけねーだろ。ばか」

「あはは」

「お前、ほんとデリカシーってもんがないな…。俺だからいいけど」

「あはは。デリカシー?」


「へー、ホントに仲良しだね、2人」

佐和が感心したように言った。

「違いマス」

「そうなの?」

「断じて」

駿太は、ハッキリと言った。

「孝司と友達なら、また会うことあるかもね」

「だから…違…」

「またね、駿太くん」

駿太は佐和に名前を呼ばれて思わず照れた。

「うん…また…」


「じゃね、駿太。また」

「……」

「無視すんなよ」


春乃と孝司と佐和は、一緒に車両に乗って、駿太はなるべく離れた所に移動してから電車に乗った。

駿太は何となく佐和の後ろ姿を見た。

(…美人の友達は美人ってホントなんだな…)

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