本格始動!佐和・湊・駿太・アンナの四角関係?!

「駿太、お疲れ」

「…どうも…」

駅のホームで、孝司が駿太に話しかけた。

駿太は相変わらず迷惑そうな顔をした。


孝司と駿太は、春乃の今カレと元カレという微妙な関係だ。

だが、駿太が孝司を心配して声をかけてくれた事があり、それ以来、孝司は駿太を見かければ話しかけるようになった。



「駿太、最近さ、春乃の周りの男子落ち着いてきた?」

「…知らね」

「特に変化なしってことか…」

「…その制服」

「ね。この制服で俺の高校わかるから、抑止力になってるかな?」

孝司の高校は市で一番偏差値が高い。

「いや…。北高って勉強ばっかりしてるダサいやつって思われてる…」

「…まじか…」


「それより電車乗ってる時の、谷川と小林。やばいよ」

「何が?」

「ちょっと視界に入ると、恥ずかしくなる」「え?」

「イチャつきすぎ」

「そうなの?」

「だから、もうそれ以上何もしなくていいよ。そのうち男も、散ってくよ。じゃあね」

駿太は、一気に喋って、離れようとした。



「孝司」

春乃が走って孝司達の方へやって来た。

駿太は気まずいので、春乃が来る前に立ち去っていたかったが、間に合わなかった。


「佐和いたっ。ほら」

春乃が後ろを指差すと、そこに小学校からの友達の佐和がいた。


佐和は小学校の頃からの友達で、春乃と孝司がうまくいくように尽力してきた。

2人が付き合う最後の一押しをしたのも佐和だった。


春乃は芸能人並の美人だが、佐和もそれに劣っていない。

肌が透き通るくらいの色白で、パッチリとした大きな目が、笑うと糸のように細くなるのが、可愛らしかった。

モテモテの春乃の影に隠れているが、男子の中で、佐和派は少なからずいた。



「佐和、久しぶりー」

「孝司、久しぶりだね。春乃からは、話聞いてたけど」

「うっ。そうか…」

「よくヨリ戻せたね」

「うん。湊君が間入ってくれて…」

「…へー。さすが湊くん」

湊は春乃の9歳上の兄だ。

「春乃に彼氏まで出来たって言うし、もうヒヤヒヤしたよー」

駿太はギクッとして、そっと逃げようとした。

「そうなんだよ。この人、元カレ」

孝司が駿太を指さした。

「バカッ。そんな紹介するなっ」

「え?」

佐和の視線が駿太に刺さる。

「あー…、俺、もう行くからっ」

「えー」

「えー、じゃないっバカ」

焦る駿太を見て、孝司は面白そうに笑った。


「あのっ。春乃の事、ありがとう」

「え?」

駿太はお礼を言ってきた佐和を見た。

「…私が言う事じゃないんだけど…。春乃がそこまで落ち込まずにすんだの、あなたのおかげだと思うから…」

まさか、お礼を言われるとは思わず、駿太は目をぱちくりした。


「駿太って、その目、たまにするよね」

孝司が笑って言った。

「…なんだよ。その目って」

「可愛いよね」

「だから、その目って何?」

「無自覚なんだ」

「だから、なんなんだよ…」


「…何?別れても仲いいの?」

「孝司だけね…」

春乃は困ったように言った。

「この人、おかしいんだよ…」

駿太はうなだれて言った。

「あははっ。そうかもね」

佐和は面白そうに笑った。

「そうかな…」

「そうだろ。谷川も…小林も」

「私も?」

駿太は気まずそうに頷いた。

「そうだね。ど天然だね、2人とも」

佐和が駿太に賛同した。

「春乃はともかく俺はそうでもないでしょ?」

春乃は孝司の肩を強めに叩いた。

「…一番まともじゃないだろ」

「そんなに…?」


「…ねぇ、相手にして疲れないの?」

駿太は佐和に聞いた。 

「あははっ。疲れたの?」

「…わかんない。元カノの今カレじゃなかったら、疲れないのかもね」

「何、孝司のこと?」

佐和は笑った。

「うん」

「なんで?」

孝司は不満そうに言った。

「何か面倒くさい…」

「孝司は、何言っても怒んないから。楽だよ?」

「…初めて会った時、めっちゃ怒ってた。黙れって言われたから…」

「へぇ。かなりレアだね」

「私もびっくりしたもん」

春乃が口をはさむ。

「言うな言うな…」

孝司の顔が一気に赤くなった。






※ 佐和と春乃と孝司の関係は、

前作『幼馴染みの恋 15歳 エピソード1』

に書いてます。

良ければどうぞ。

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