湊の本命。孝司、衝撃の事実を知る
佐和の湊への告白から数日後…。
孝司は、湊が家に帰ってくる時間に合わせて、小林家を訪問した。
もちろん話題は佐和の件だ。
春乃には聞かれたらまずいので、何とか理由をつけて湊の部屋にこもった。
「湊君、佐和の事…」
「うん。ちょっと困った事に…」
「佐和は、湊君がそのうち付き合ってくれるって思ってるみたいだけど」
「はぁ…」
「やっぱり、佐和の勘違いか…」
湊は頷いた。
「たくさんいる彼女の中の一人になるから、やめろって言ったつもりだったんだけど…」
「だって佐和、それでも良いって前から言ってたから…」
「うわ…」
「もう一回、ちゃんと断れば?」
「…孝司、うまいことやっといて」
「え!?俺!?」
「うん」
湊は、普段は絶対見せないような、困った顔をしていた。
「どうやって…」
「……」
2人は黙ってしまった。
「本命…、いないの?」
孝司は恐る恐る聞いた。
「…いるけど」
「じゃ、遊ぶのやめて、その人と付き合えばいいじゃん」
「無理なんだよ…」
「なんで?それで万事解決なのに…」
「…お前の…」
「?俺の?」
「……」
湊はその言葉を口に出すかどうか迷っていた。
「何?」
「…姉ちゃんなんだよ」
「え!?!?!」
「だから、だめだ」
「え、絵理?!?!」
「ま。それはいいんだけど」
「良くないよ!」
「……?何で?」
「いや…だって…」
「別に、今の関係に満足してるから」
孝司の姉の絵理には恋人(名・パブロ)がいて、湊とパブロも仲がいいので、3人でよくつるんでいる。
「そうなの…?」
「うん。そんな事より、佐和が、諦めるような事…」
「そんな事じゃないけど…。…あ、」
「ん?」
「佐和の事好きなヤツがいて…」
「へぇ」
「春乃の…、元彼なんだけど…」
「へぇ、あいつか」
「会った事あるんだっけ?」
「うん。あいつ…、いいよな」
「あ、やっぱり?」
「ん?」
「俺、友達なの」
「嫌がってない?」
「嫌がってる。春乃も駿太も…」
「ふ~ん。ま、お前が良いって思ってるんなら、いいヤツなんだろうね」
「…褒められた?」
「褒めた」
2人は笑った。
「じゃ、その2人まとめといて」
「そんな、サラっと言わないでよ」
「孝司が春乃とヨリを戻せたの俺のおかげだよね?」
「そうだけど」
「頼んだっ」
湊が頭を下げた。
あの湊がここまでしてるのに、孝司は断るなんてできなかった。
※ 湊と絵理の関係は
小説『腹黒男子は遠恋中の彼女に片思い』 で!
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