【過ち】

…電話に出てしまった。



「A!久しぶり!」



2年振りに聞くRくんの声。


私の中であの日々が少し蘇った。



「今大阪におるねんけど、

 ちょっと会える?」


『え!こっちにおるん!?』



突然の電話で戻ってきてる事実を知り、

すごく混乱した。


あんな別れ方をして…

今の状況もある。


当然、即答はできなかった。



すぐ答えない私に


「今どこおるん?

 そこまで行くわ!」


怒ってはいないけど、

相変わらずの強引さは健在だった。


私はまだその強引さに弱かった。



気付いた時には

自然と返事をしてしまってた。




kちゃんには自由させてもらってた。


友達と夜通し遊んでいても、

怒られたことはなかった。


束縛なんて一切されなかった。



私を信じてくれてたから。



それを私も分かってたから…


すごく後ろめたい気持ちになった。



それでも返事をしてしまった。



私は心のどこかで、


” 少し刺激が欲しい ”


そう思ってしまったのかもしれない。




会いに行ってしまった。




なぜ大阪に来てるのかも

聞いたはずだけど覚えていない。


一緒にお酒を飲んだことは覚えてる。


そして、新しく彼女になった子に

また暴力をふるってしまった話を聞いた。



Rくんと離れて、見えることもあった。


愛情をあんな形でしか表現できないのは、

複雑な家庭環境のせいもあったのだろう。


思い通りにならないと女を殴るし、

捕まるような悪いことをしてしまう、

本当に最低な人。


でも…Rくんは少し成長したのか、

自分の行動に苦しんでた。


私にしか相談できなかったんだろう。


そんな少し成長した彼を見て、

” やっぱり憎みきれないな… ”

そう感じてしまった。


同じことをしないように、

良い部分をもっと出せるように。


そんな不器用なRくんに、

私も不器用ながら伝えた気がする。



そんな話をした帰り道。


2人とも酔ってしまっていた…



「ココ入ろう。」



ホテルに入ってしまった。



私は…

拒んだんだろうか。

了承したのだろうか。


都合が良いくらいに

全く覚えていない…。


でも、会うことになった時点で

こうなる可能性は分かってたはず。


お酒を飲んだせいでもない。


私自身があの頃に戻ってしまった。




受け入れてしまった。




まだホテルに滞在中、着信が鳴った。


kちゃんだった…



ハッと現実に戻った。


時間を見ると

仕事が終わった頃だった。



” なんてことをしてしまったのだろう… ”



すごい罪悪感におそわれた。



怖くなって電話に出られず…


着信が鳴り終わった。



どうしたらいいか分からなくなり、

電源を切った。



その後のことは、焦りからか

あまり覚えていないけど…


『もう会わないようにしよう。』


そうRくんに伝えて自分の家に帰宅した。




次の日。



「昨日どうしたん?」


kちゃんが電話で心配そうに聞いてきた。



『ごめん!

 遊んでて途中で充電切れてしまって…』


初めてkちゃんに嘘をついた。



「そーやったんや!

 どうしたんかと思ったわ!」



やめて…

そんな優しいこと言わないで…



本気で心配してくれるkちゃん。



こんなに優しい大好きな人を

私は裏切ってしまった…


あれだけ憧れた大好きな人なのに…



過ってしまった前日の行動を

心の底から悔やんだ。


自業自得だけど、

苦しくて仕方なかった。

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