【恋人】

ついに、憧れのkちゃんが彼氏になった。


恋人同士…

夢のような気持ちだった。



周りのみんなもすごく喜んでくれた。

大好きだったあの店長にも報告した。



あとから聞いた話…。


kちゃんが前の彼女と別れる前後あたりで、


「Aの方がいいやん!」


「A、いいと思うけどなー」


と、数名が私のことを言ってくれたらしい。



kちゃんは、


「そうなのは分かってる…。」


結構早い段階で考えてくれてたみたい。



言ってくれた人達、

報告聞いて喜んでくれた人達に

もう感謝しかなかった。




そんな私達が会うのは、ほとんどが

kちゃんの仕事終わりの時間。


夜ご飯を食べに行ってから、

kちゃんのお家でお泊りが中心だった。



新店舗の店長。

それは勤務時間も長い上、休みも少ない。


持病があるのも知ってたから、

体が心配だった。


なるべく少しでも体を休めれるように。

休みの日は少しでも多く寝れるように。

そう気を付けては居たけれど…


優しいkちゃんは、

まだ若い私の事を考えて

少しでも希望を聞いてくれようとした。


遅い時間に終わって、

次の日も朝から仕事なのに…

少しでも一緒に居れる時間を作ってくれる。


たまにしかない貴重な休みなのに、

色んなところに連れて行ってくれた。



心配してたくせに、

その優しさに甘えてた方が多かったかも。




普段のkちゃんも大好きだったけど、

kちゃんが仕事してる姿も大好きだった。


kちゃんが頑張って立ち上げた新店舗。

仕事が終われば会うのに、

わざと少し早めに見に行ったりした。


有名な繁華街で、オシャレな雰囲気のお店。

前とは違う制服。

その上、いつも通り完璧な対応。


” やっぱカッコ良すぎる… ”


と、と毎回ほれぼれしてしまった。



きっと職場の子もお客さんも同じことを

思ってる人多いだろうな…と、

少し不安にもなった。


でも、私と2人で居る時は、

普通のお兄さんのような気がした。


仕事で見せる完璧な笑顔ではなく、

飾らない自然な笑顔を

見せてくれてる気がした。


それに気付き出してからは、

自然とだんだん不安は薄れていった。



” この人が私の恋人…本当に? ”


ふと自分でも信じられないくらい、

なんの不満も出てこない、

《自慢の彼氏》だった。

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