【叶う】
とうとう約束の日が来た。
前は急遽のお泊りだったけど、
今回は前もって約束してたお泊り。
「近くにお風呂屋さんあるから、
ご飯たべたら寄って帰ろう!」
『うん!』
kちゃんの家のお風呂を借りるのは
恥ずかしいな…と思ってたから、
ちょっと安心した。
でも、もう1つの心配が…
ノーメイクの顔を見られるんだ。
『kちゃん…恥ずかしいから、
スッピンあんまり見んといてなー!』
笑って言ったものの…
" 嫌われたり幻滅されたらどうしよ… "
と不安だった。
ご飯を食べ終わり、
kちゃんの自転車の後ろに乗って、
お風呂屋さんへ。
もうノーメイクの顔を公開することで
頭がいっぱいになりながら、
女湯へ向かった。
お風呂から上がると
kちゃんは外で待っててくれた。
私は下を向いて、
髪で少しでも顔が隠れるようにして…
『ごめん!お待たせー!』
と近付いた。
「めっちゃ隠そうとしてるやん!
でも全然気にせんでいいやんか!」
と笑顔で言って、
自転車の後ろに私を乗せた。
少し安心した。
お家までは結構近い。
お風呂上がりの夜風が気持ち良かった。
" こんなふうに一緒に過ごせて嬉しいな "
kちゃんの後ろに乗って、
幸せに浸っていた。
その時。
「あのな…」
kちゃんが前を向いて自転車をこぎながら
少し真剣な声で言った。
「ん?」
" 急にどうしたんだろ… "
不思議に思って聞いた。
『俺と付き合ってくれる?』
頭の中が一瞬で固まった。
" 今…なんて言った…? "
聞き間違えかと思った。
『え…?』
言葉がこれしか出なかった。
「ビックリするよな、今更。
でもな…
前からずっと言おうと考えててん。」
何を言われているのか
頭が追いつかない。
『うん…』
としか言えなかった。
「え?ちゃんと聞いてる?」
少しの後ろの私を見て聞いてきた。
『き、聞いてるよ!』
焦って答えた。
kちゃんはまた前を向いて話始めた。
「Aがずっと想ってくれてたのは
分かってたけど、
すぐ答えれる状態でもなくて。」
きっと別れた彼女のことだろう。
「でも、ほんまにかわいいな…って
思って嬉しかった。」
" か、かわいい!? "
耳を疑う言葉が聞こえた。
「それでな…
今日絶対Aがスッピン見せるの
嫌がるんやろうな…と思ってな。
それを見せてくれた時に言ったら、
信じてもらえるかなって。」
現実か夢か分からなくなるくらいの言葉。
でも、
kちゃんの後ろから肩を持ってる感覚がある。
kちゃんの後ろ姿が見えてる。
kちゃんの声が聞こえてる。
気付いたら涙が出てた。
「あれ?手震えてる?」
また後ろを振り返って私を見た。
「え!泣いてるん!?」
kちゃんが驚いてた。
『そりゃ泣くよ…』
そんな私を見てkちゃんが笑った。
そして…
「Aのことが好きやで。」
こんな日が来るとは思ってなかった。
こんな言葉を聞けるとは思ってなかった。
出会って2年過ぎ。
勝手に一目惚れして、勝手に憧れて。
みんなに言えるくらい大好きになって。
一緒に居れるだけで幸せだった。
でも、少しずつ
それ以上を求めてしまうようになって…
気持ちを歯止めをかけてたのに…
「私も大好き」
嬉しくて…嬉しくて…
泣きながら答えた。
この夜…
私の勝手な片思いが、両思いに変わった。
想いが叶った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます