第21話 恋の始まり
「私は神殿に戻って内部から色々調べます」
「しかし! 愛梨沙様が虐げられるのは……!」
「私の護衛騎士はニックさんでしょう。大丈夫、ニックさんがいてくれたら平気です。それに、今だって魔法で上手く誤魔化してるんですよ。私の魔法、結構凄いんですよ。幻影は掛け算したら実体化するし。今日だって、殴られたのは幻影だし」
「しかし……!」
「私が城に保護してもらったら神殿vs国になって内戦が勃発しますよ。人の信仰心を舐めたら痛い目にあいます。今動くのはやめた方がいいです。三人も味方がいるなら、私は大丈夫ですから」
とにかく落ち着いてくれ。マジで内乱になる。
実は魔法でちょこちょこ神殿の人を調べてた。魔法で統計取ったら、神殿の半分くらいの奴らは自分達が国王より偉いと思ってる事が判明した。
さすがに、そんな恐ろしい事はこの人達には言えない。ただでさえ怒ってるのに、もっと怒りそうだし。
『ダリスはともかく、団長には言わない方が良いですね。団長は、国王陛下に忠誠を誓っておりますから』
え……心の中に、ニックさんの声がした。
『これ、なに?』
『先ほど神様を呼ぶ直前に、愛梨沙様のお姿を見てから、喋らなくても愛梨沙様と会話できるようになりました』
『そういえば、シスターコリンナがアリサちゃんを殴ろうとして、必死で庇ってた時にニックさんの声がしたかも』
『常に話せるわけではないようですね。先ほどからずっと愛梨沙様に話しかけていたのですが……』
『そっか、気が付かなくてごめんなさい』
『いえ、お気になさらず。それより愛梨沙様、神殿に戻る気持ちはお変わりありませんか?』
『うん。私を助けてくれる人が、誘拐犯扱いになっちゃうでしょ』
魔法で色々出来るんだから、そんなにつらくない。それに、ニックさんがいるなら大丈夫。なんでか分からないけど、この人の顔見てると安心するし。
『分かりました。では、オレに魔法を教えて下さい』
『魔法?』
『はい。愛梨沙様の使われた魔法の中に幻影の魔法がありますよね? あれは、幻の魔法と呼ばれていて使える者は世界中探しても数えるほどしかいません。ですが、なんとしても習得します。オレが魔法を使って愛梨沙様の幻影を操ります。そうすれば愛梨沙様は神殿にいなくても良い。神様を呼ぶ時だけ戻って頂き、普段は城に避難しておけばよろしいかと』
『えー……そしたらニックさんに会えないから嫌』
『そうですか……確かに、オレも愛梨沙様と会えないのは嫌ですね。では、他の方法を考えましょう』
笑顔のニックさんに胸がキュンとした。え、なにこれ。こんな状況でニックさんに惚れるとか……私、簡単過ぎない?!
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