第18話 データベースの説明
「気にしないで下さい。オレの心なら、いつ読んで頂いても構いません」
「ううん。もうこの魔法は使いません。ニックさんに嫌われたくないし。それに、この魔法あんまり良くないんです。ニックさんみたいにいい人なら大丈夫ですけど、シスターコリンナの心を読んだ時は結構まずくて……心を読んだ人の気持ちに、感情が引きずられてしまうんです。シスターコリンナの心を読んだ時は恐ろしくて……たまたま近くにいたニックさんの心を読んで救われました。勝手に読んで、ごめんなさい。でも、おかげでシスターコリンナの考えに引き摺られなくて済みました。あの人、ずーっと残虐な事考えてて……なんだか分からないんですけど、綺麗な女の人を恨んでるらしくて……それがすっごく気持ち悪くて……ニックさんの心を読んでなかったら今頃、どうなってたか分かりません」
「危険な事をするのぉ。聖女が残虐な性格になったらどうするのじゃ」
「愛梨沙様はそんな事になりませんよ。ですが、不安ですよね。オレの心を読んで愛梨沙様が落ち着かれるのなら、いつでも読んで下さい。先ほどの円グラフを作る為に大勢の人の心を読まれたのでしょう? 大丈夫なのですか?」
「はい。直接人の心を読まなければ大丈夫です。えっと、データーベース……って言っても伝わりませんよね。ええと……ええと……」
「落ち着いて、ゆっくり教えて下さい。オレは愛梨沙様を嫌ったりしませんから」
優しく、ゆっくりと話してくれるニックさんのおかげで落ち着いて、ちゃんと説明できた。
紙とペンを作って、簡単にデータベースの概念を説明する。最初は私が心を読めると知って引いてたダリスさんも、説明を聞いたら納得してくれた。
ダリスさんは、信用してもらう為に心を読んでも構わないとまで言ってくれた。けど、私はもうこの魔法は使わないと決めた。人の記憶は消せなくなるけど、仕方ない。
もう人の記憶は消せない。そう説明すると、神様は今後の事を考えようと言ってくれた。だから、自分の考えを話す。
「私は、神殿に帰ります」
「あんな魔窟に愛梨沙様を帰せません!」
ニックさんが大反対する。ありがたいけど、今私がいなくなればアリサちゃんやニックさん達を調べられるだろう。あのシスターは残虐で頭がいい。今は神様が降臨してて興奮してるけど、私がいなくなれば徹底的に探すだろう。
髪色は変えたけど、私がニックさんの家に行った事も調べられるかもしれない。シスターコリンナの記憶を消すのは絶対無理。
だから、このまま私が素直に神殿に帰る方が良い。街に出てしまった言い訳は、神様に呼ばれたとか言えば良い。
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