6話、私も創れる、守れるはず。
私は大和大破という名を壊した武蔵行予。今日から、外で魔法を使う際には茶葉が魔法で作った仮面を付けるように言われた。茶葉とお揃いだ。ついでに茶葉は叶の分も作った。茶葉の傍に居たいという叶の願いを聞きいれた形だったが、茶葉は大分面倒くさそうだった。幼馴染というものらしいが、茶葉は叶より上に立っていたく、叶は横に立っていたいように見える。そのため、面倒くさい喧嘩に発達することがしばしばある。叶は茶葉の事を陰キャと呼んでいた。茶葉は叶の事を陽キャと呼んでいる。どうやらお互い違う属性にあるようだ。茶葉は、部屋ではいつも本を読んでいる。漫画というらしい。漫画家が創造した本のようで、私も読ませてもらうととても面白かった。他にも小説を読ませてもらうととても勉強になった。その中で幼馴染は恋仲になる確率が高かった。だから聞いてみた。
「茶葉と叶は恋人?」
「ぶふっ!?」
漫画を読んでいた茶葉は、咳き込み、首を横に振る。
「違うよ、全然違う」
「でも幼馴染……」
「幼馴染でも恋人にならないパターンもあるんだよ」
「ふーん」
茶葉は顔が真っ赤だった。恐らくそれが真実。隠したいならそれでいい。私は壊すことしか出来ないから手助けできない。
「お前さ」
ふと茶葉が尋ねてきた。
「自分が壊すことしか出来ない生き物だって思ってるだろ?」
なんでピンポイントで聞いてくるんだ。
「頭の中を覗いてるからだよ」
「ちょ、ちょっと!」
私は照れた。こんな感情初めてだった。
「お前は……、お前らは不器用なだけで、本当はもっと創造する力があるはずなんだよ」
「そうかな?」
「魔法で携帯端末作ったろ?」
「あれは予知夢で作り方を……」
「つまり、創れるってことだよ」
なるほど、と納得した。私は今まで狭い視野でいたんだ。自分は壊すしかできないと思っていた。
「ただ、多分破壊衝動は呼吸するように湧くようになってるんだろうな……」
それは茶葉でも何ともならないものらしい。それでもいい。私はこうして生きていられる。そして、この世界でいつまでも生きていくためには……、終末時計を反転させなければならない。
「今日は出掛けるぞ」
「わかってる」
予知夢の時間にそろそろなる。仮面を付けて茶葉と家を出る。私も茶葉も仮面を付けてるのに不思議がられない。茶葉が視覚妨害の魔法というものを使っているかららしい。見えなくなってる私たちは、人にぶつからないように歩き、公園で待つ叶の元に向かった。
叶に仮面を渡した茶葉は視覚妨害の魔法を叶にもかけて、連れていく。今日は休みというものらしい。しばらく歩くと、ここら辺で一番広く広がる田んぼだらけの場所に出た。ちらほらと農作業をしてる人が見える。
「本当にこの辺に怪獣出るの?」
「間違いないよ」
私は答えた。茶葉も頷く。叶は震える。
「出てきた瞬間焼き払ってね、茶葉」
「今は行予もいる。大丈夫だ」
それを聞いて叶は顔をしかめた。
「私の中では大破ちゃんなんだけどなぁ……」
「切り替えろ」
「そんなすぐ変えられないよ……」
そんな叶に私は謝った。
「ごめんね、叶」
「ううん、仕方ないよね……。大破ちゃ……じゃない! 行予ちゃん」
もうすぐ怪獣、私の世界の住人が二匹やってくる。一匹は茶葉が相手をする。もう一匹は私が相手をする。
怪獣が現れた。茶葉は怪獣の足を固定してニューバイブルの一節を唱えている。私は仮面の前から光球を生み出す。私が右側にいたから右側の怪獣に光線を当てたのだが、硬い。仕方ない……火力を上げよう。
見ると怪獣は光線を私の方に放とうとしていた。私は火力を上げて光線を放つ。怪獣の光線とぶつかり押し合いになる。
「頑張って! 行予ちゃん!」
叶が応援してくる。凄く嬉しい。もっともっと火力をあげていく。やがて、怪獣の頭を吹き飛ばした。もう一体の怪獣がこちらを見ている。私の方を目がけて光線を向けてくる。
「……いくぞ! 大天使の燐輪!!」
ニューバイブルを唱え終わった茶葉が、大天使の燐輪を使い、怪獣を塵にする。
「さて、家に帰るぞ」
「え?」
私は首を傾げた。叶は慌てる。
「どうせなら何か食べて帰ろうよ」
違うそうじゃない。これは予知夢とは違う。
「どうして?」
「ん?」
私の疑問に茶葉が首を傾げる。
「どうして……、これから来るもう一人の敵を一緒に倒してくれないの?」
「は?」
茶葉は素っ頓狂な声を出した。なんで? 私の予知夢と、茶葉の予知は違うの?
「……これからここに怪獣がもう一体くるのか?」
「うん」
「そんな予知はないけどな」
「そんなはずない……!」
また私の予知夢が壊れたの? おかしい、何が起きてるの?
すると、黒い点が私の後ろに出現したのを感じ取った。茶葉は目を見開いて驚いている。茶葉は慌てて叶を茶葉の後ろに飛ばした。私は振り返る。
「遅い」
その声に聞き覚えがあった。私の予知夢で現れる怪獣とは違う。完全に予知夢は壊れてる。
私の火の輪とその人の火の輪がぶつかるが私が吹き飛んだ。
「……! お母さん!」
「まさか、女王ってやつか?」
吹き飛ぶ私の方を見る茶葉の顔に焦りがある。そうか、茶葉はもう魔力が……。
私が戦うしかない。大丈夫、お母さんには訓練で負けたことがない。
「お母さんも……、壊す!」
私は光線を溜めて放つ。お母さんは……、光線を放ち私の光線に合わせた。拮抗している。火力を上げていく私。限界まで上げた。なのに、ドンドン押される。そんなはずない……!
「馬鹿ね。子供に本気を出す親がいますか?」
お母さんの光線が私を吹き飛ばした。私は……、辛うじて生きていた。
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