KAC20235 マッチングアプリ【犬活】

星都ハナス

🐕🐩🐕‍🦺

 俺の名前は菅沼スガヌマタツヤ、25才。彼女いない歴が年令と同じっていうオタク系男子である。そんな俺をみかねて後輩の鮫島サメジマがあるマッチングアプリを教えてくれた。


犬活イヌカツっていうんですけど、好きな犬を選んで登録するだけです。ちなみに俺はドーベルマンを選びました」


(鮫島のやつ、カッコいいのを選びやがって。俺だって)


 俺は一番自分とかけ離れた犬を選んだ。それは小型のグレーハウンドとテリア種を交配したウィペット犬。長い首に小さな頭、背中から腰、後ろ足にかけての流線型のラインが美しい。


「体臭が少ないっていいよな」

「それ、大事っすね」

「まっ、一番惹かれたのは贅肉がなくての引き締まったボディだけどな」

「……見た目は大事っすけど、相手は慎重に選んだ方がいいですよ。俺、ポメラニアン選んで後悔してるんで。先輩、ゴールデンレトリバーとかオススメですよ」

 

(ゴールデンレトリバーか。顔は優しくていいけどな。可愛いのがいいんだよ)


 俺はトイプードルを相手に選んだ。モフモフできるなんて最高じゃねえか!


🐕🐩🐕‍🦺

 翌日、マッチング出来たトイプードルと近所のドッグカフェで待ち合わせをした。


「はじめまして。わぁ、思っていたよりスゴイですね。腹筋が割れてる!

触ってもいいですか?」


 愛くるしい瞳をさらにまん丸くして、彼女は俺のに触れた。腹の下部分も反応して硬くなる。


「あっ、あの、これから一緒に走りませんか?」

「ぜひとも。あなたの走っている姿は美しいでしょうね」


 人生で初めてだった。女性から筋肉を褒められるのって初めてだった。俺は嬉しくて嬉しくてドッグランを駆け回った。


「……もし良かったら、俺の童貞卒業はじめてを受け入れてくれませんか?」

「喜んで。筋肉質の男性に憧れていました」


───はっ、はいんねぇー!


 鮫島が言ってた通りだ。小型犬を選んだことを後悔する。


童貞のままじゃねえか!


おわり

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