第4話
いつも1人で出かける時1番暇であるはずの移動時間が、
「そういえば月先輩ってどうして俺に固執し続けたんです?俺なんかよりかっこよくていい男なんて世の中にいっぱいいるじゃないですか。しかも先輩がカッコイイ人に告白されてたの俺知ってるんですよ?」そんな問いに先輩は、分かってないなぁ冬雪は。と溜息をつきながら首を横に振る。
「まず冬雪に興味を持った理由は君のお兄ちゃん、つまり和翔から君の話をよく聞いていたからだよ。君の話を聞く度に私はどんどん君に興味が湧いていったんだ。私が和翔と恋仲になろうとしなかった1番の要因はおそらく君の存在だろうね。君が気になっていたから和翔とは恋仲になろうと思わなかったんだと思う。」まぁ和翔自身も私と恋仲になるつもりは一切なかったらしいけどね。と先輩は苦笑いする。
「君を知って、君と会って一緒に遊ぶようになって、どんどん冬雪のことが好きになっていった。告白して振られてもめげなかったのはね――――――」そこで先輩は1度深く息を吸う。
「意地が半分、本気で冬雪が大好きだったってのが半分だね。」苦笑いしながら先輩は続ける。
「だから君に何度振られようとめげなかったんだ。それに…君もまんざらでもなさそうだったし。」実際先輩に告白されて悪い気はしなかったし、むしろ振ることに罪悪感を覚えるほどだった。今思えば昔から月先輩のことが好きだったんだな…。
その話を聞いた俺が先輩と付き合う前の自分の気持ちを吐露する。
「なるほど、全部バレてたんですね。やっぱり月先輩には敵いませんよ。兄貴から先輩の話をよく聞いていましたし、出会ってすぐの時も少し面倒な人ぐらいの印象でしたからね…。今思えば兄貴も俺たちを結びつけようと頑張ってくれてたのか。」帰ったら兄貴に感謝の意を伝えておこう。そんなことを考えているうちに気づけば目的の場所の近くまで来ていた。
「おっと、そろそろ目的地だね。この話はまた今度しよっか…ね。」話しながら少し照れていた先輩はすごく可愛かった。そう思った時、気づけば俺は先輩の手を握って歩き始めていた。
「さ、先輩今日はめいっぱい楽しもうね!」
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