そこの君、筋肉はすべてを解決する!
ひなみ
マッスルマンよ永遠に
「うわぁあ! もう間に合わない!」
「そこな少年よ。何かお困りかな?」
「学校に遅刻しそうなんです! 助けてください!」
「飛べ、マッスルシュート!」
何者かによって投げ飛ばされた男子生徒は放物線を描く。校舎の三階の教室が彼の目的地である。ちょうど空いていた窓から自分の椅子へとホールイン着席を果たすと、地味が取り柄だった彼は一躍クラスのヒーローとなり可愛い彼女もできた。
「今日でトレーニングなんて辞めちまおう」
「
「そうだった、オレの夢は世界を獲ることです!」
「鍛錬せよ、マッスルプロテイン!」
全戦全敗の崖っぷちボクサーはこの日から生活が一変。茹でたもやしのような体は鋼のごとく硬い変貌を遂げた。ついに迎えたチャンピオンとの一騎打ち。開始と同時に放ったパンチで一撃ノックダウン勝ちを収めた彼は、直後のインタビューで生まれて初めての男泣きを見せた後宝くじに当選した。
「死ぬまでに一度でいいからバズりたいよぉ」
「マッスルキュンハート!」
「そいつ銀行強盗です!」
「マッスルチョークスリーパー!」
「この中にお医者様はいらっしゃいませんか!?」
「マッスルトリプルAED!」
彼の名はマッスルマン。
謎のお助け男の存在が世に知れ渡ると、昼夜を問わず人々はこぞってその
労働基準法も真っ青な過酷スケジュールではあったものの、彼はものともせず人助けに奔走した。
「きゃああ、隕石よ! もうこの世界はおしまいだわ! あ、貴方は!?」
「
ここはカメラのシャッター音やマッスルコールが響き渡る渋谷の街。彼のシックスパックからは眩い光が放たれる。隕石を打ち落としたその光はもの凄い勢いで大地を割り、海を蒸発させ、空を引き裂いていく。
そして大歓声の中、地球は爆発した。
そこの君、筋肉はすべてを解決する! ひなみ @hinami_yut
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