KAC20235 筋肉

橋元 宏平

筋肉物語


 今は昔むかしむかし筋肉の翁マッスルオーガいふ者ありけりいう人がいました


 野山に交じりて分け入って、筋肉をきたえつつ、よろづのことに使ひにけりさまざまなことに使っていました


 名をばその名も筋肉造きんにくのみやつこなむいひけるいいました


 その竹の中に、もと光る竹なむ根本が光っている竹がひとすぢありける一本だけありました


 あやしがりて不思議に思って寄りて見るに近寄って見ると筒の中光たり竹の中が光っていました


 それを見れば、三寸ばかりなる人約九センチくらいの人がいとうつくしうてゐたりとても可愛らしく座っていました


 筋肉の翁言ふやうマッスルオーガの言うことには


われ子になり給ふべき人なめりうちの子となるべき人に違いないわ


とてということで、光る竹をもとより引き抜き根元からぶっこ抜いて家へ持ちて来ぬ家へ持ち帰りました


 筋肉の翁マッスルオーガが、この子を見つけて以来、に竹取るに竹を取ると


よごとに毎回蛋白質ある竹をプロテインが詰まった竹を見つくること重なりぬ見つけることが続きました


 かくてそうして筋肉の翁マッスルオーガは、やうやう豊かになりゆくだんだん豊かになっていきました(筋肉的な意味で)。


 このこどもは養ふほどに育てているうちに、すくすくと大きになりまさるく成長していきます


 三月ばかりになるほどに三ヶ月ほど経つとよきほどなる筋肉になりぬれば立派な筋肉へ成長を遂げたので


帳の内よりも出ださずジムから一歩も外へ出さずいつき筋肉を養ふ大切に筋肉を育てました


このこどもかたちのけうらなること肉体美は世になく世界一で


屋の内は暗き所なく家の中でも暗いところがなくなるほど油にて光満ちたりオイルでテカりまくりました


 筋肉の翁マッスルオーガが、心地あしく苦しき時気分が悪くて苦しい時も、そのこどもの筋肉を見れば、


苦しきこともやみぬ苦しさもぶっ飛びました


 筋肉の翁マッスルオーガは竹を取ることプロテイン竹を取ることが久しくなりぬ長く続きました


 (その結果)勢ひ猛の者になりけり凄い勢いで猛者になりました


  この子いと大き筋肉に成りぬればが、とても大きな筋肉へと仕上がったので


名を三室戸斎部の秋田みむろどいんべのあきた呼びてつけさす呼んで、名付けてもらうことにしました


 秋田秋田は、「真竹のフィロスタキス・筋肉姫マッスルプリンセス」と付けつ名付けました


 世界のをのこ世の男達はみんなあてなるもいやしきも貴族も平民も関係なく


 いかでどうにかして、この筋肉姫を得てしがなマッスルプリンセスを手に入れたい、見てしがな結婚したいと、音に聞き噂を聞いてめでて惑ふ恋心をこじらせていました


 夜は安き寝も寝ず男達は夜も寝ないで闇の夜に出でても深夜も出歩いて


 穴をくじり外壁に穴を開けて垣間見ストーキングを惑ひ合へり繰り返していました


 これを見た筋肉姫の言はくマッスルプリンセスが言うには


さきざきも申さむと思ひしかども前々から言おうと思っていたけど、必ず心惑はし給はむものぞと思ひてビビり散らかすと思って


今まで過ごし侍りつるなり言えないまま時が過ぎてしまいました


さのみやはとてもう隠し通せないのでうち出で侍りぬるぞ打ち明けます


おのが身は実は私はこの国の人にもあらず地球人ではなく月の都の人なり筋肉星人だったのです


今は帰るべきになりにければ帰らなくてはならない時期になったのでまかりなむとする帰らなければなりません


 かかるほどにそうこうしているうちに、大空より、筋肉星人が雲に乗りて下り来たり宇宙船に乗って降りてきました


 ふと筋肉星人が素早く、天の羽衣マッスルマントを、うち着せ奉りつるマッスルプリンセスに着せました


 この衣着つる人はマッスルマントを着ると物思ひなくなりにける人間らしい感情がなくなってしまいます


 かくてそうして筋肉姫マッスルプリンセスは車に乗りて宇宙船に乗って昇りぬ帰っていきました


                     ―了―めでたしめでたし

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KAC20235 筋肉 橋元 宏平 @Kouhei-K

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