第5話

 翌日、勇人は依頼人の目の前に、人間姿の猫又とともに、現れた。

 依頼者の折笠愛子は、女の姿を確認するなり怒りに顔を染めた。

「何で、この女を連れて来たんですか!?」

「落ち着いて下さい。彼女はあなたと話せれば、もうストーカー行為はしないと誓ってくれました。ですので、お話だけでも聞いて欲しいのです」

 愛子は渋々ながらも「分かりました」と了承してくれた。

「ほら、猫又」

「にゃ」

 勇人に返事するなり、女が煙のように消え、猫の姿になった。

「えっ、ミーちゃん?」

 女が猫の姿になったとたん、愛子は戸惑いの表情を見せた。

「怖い思いをさせてごめんにゃ。実は最近猫又として覚醒して、どうしてもお礼を言いたかったにゃ。捨て猫だった私を拾って20年間愛情を注いでくれてありがとうにゃ。」

「こう言う訳なんです。納得していただけましたか?」

「ええ」

「……もし、愛子がいいのなら、これからも私に愛情を注いで、たまに話相手になって欲しいにゃ」

「もちろん、いいわよ」

「ありがとうにゃ」

 猫又のミーは、飼い主の愛子の胸に飛び込んだ。


終わり


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

怪奇探偵4 浅貴るお @ruo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ