第4話

 女が、猫の姿になった。

 勇人は驚いた。だが、それだけだった。

 何かしら怪奇かもしれないと考えていたところもあったからだ。

 勇人は、猫の前足を掴んだきり放さない。

 最初は暴れていたものの、猫は体の力を抜いた。それでも、勇人の手から力は抜けなかった。

「逃げないな?」

「にゃ」

「今さら、猫のふりをしても遅いぞ猫又。俺の言葉が分かってるんだろう?」

「ばればれだにゃー。勘弁な。あんたから逃げられる気がしないにゃ。だから手を離しつてほしいにゃ」

「逃げないなら」

「逃げないにゃだから離してにゃ」

「分かった」

 勇人は猫又から手を離した。

「痛かったにゃ」

「それで、何であの女性をつけていたんだ?」

「それはーー」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る