第2話 初ゲームと崩し

「今日から仲間になる城佑真と萱田修斗だ」




「「よろしくお願いします」」




俺は母さんにサッカーをやりたいと言ったらあっさりOKされた。元々お家でしか遊ばない俺を心配していたらしい。そのまま話が進み修斗も一緒のチームに入団することになった。




「よろしく!俺の名前はユーマ!俺の好きな選手はネイマール!」




「えっ!どうもシュートです。好きな選手はメッシ?」




チームは1学年20人くらいいる割と大きなクラブだ。




「早速対面パスから始める。位置について始めろ。パスGoは最初は無しだ」




対面パス。


基礎練習の中の基礎連習。


止めて蹴る、サッカーで重要なスキルだ。




俺の番が回ってくる。




ボールを前に置くイメージでトラップする。




ボールが止まった。


前の子に向かってパスを出す。


少しずれたがまずまずだろう。




この一つ一つの動作が楽しくてたまらない。




「次逆足でトラップ」




コーチから指示が出る。




俺の利き足は前世も今世も右足だ。


思えばこの前シュートと蹴った時も左足を使っていなかった。




慣れない足でのトラップは大きくずれる。




周りはどうだろうか?


佑真程ずれている子はおらず、シュートも佑真よりもうまくトラップをしていた。




もしかしなくてもこの中で今一番下手糞なのは俺だろう。




(上等、絶対にうまくなるここにいる誰よりも俺はもっともっとうまくなって世界で活躍するんだ!)




その後トラップした後に移動するパス&ゴーの練習、シュート練習と続いた。




「最後にゲームを行う」




小学校低学年は8人制で行われることが多い。


そしてオフサイドがない。




俺と修斗は最初はベンチで見学していた。




修斗はさっきのシュート練習で見ていたけど初心者なのに決定力がある。


こいつはきっと才能があるのだろう。




見学をしているとあることに気づく。


ポディショニングがバラバラなのだ。




所謂団子サッカー、ボールを持った人に全員集まる。




これなら技術がなくても行ける。




「シュート、交代したらお前はキーパーと近すぎない程度なゴールの前にいてくれ」




「?わかった」




5分くらいしたらベンチとの入れ替わりがあった。




キックオフと同時にボールに集まりだす。




俺はサイドのスペースに逃げていた。




相手も味方もボールに集まる。ボール保持者は邪魔が多すぎてドリブルなんてできない。


味方の選手にボールが渡る。




「こっちだ!ヘイ!パス!」




蹴りだされたボールは大きくスペースの空いた俺の場所。


プレッシャーもかからない俺はトップにいる修斗へパスを出す。




キーパーと1対1になった修斗は難なくゴールを決めた。


この瞬間生まれたホットライン。




ボールを持ち帰りセンターラインからリスタートする。


このパターンで3点決まった。




そこまで行ったら、小学生もバカではない。


俺と修斗にマークがつく。


試合展開がワイドになりよりサッカーらしくなった。




パスをもらうまでの駆け引きが生まれる。


修斗にパスを出す。なんとなくわかる動き出し、俯瞰の目という奴だろうか。




チーム全体のいる位置を把握しボールを供給する




(崩せた!)




絶好のタイミングでパスを出す。




サッカーにおいて一番楽しい瞬間は何だろうか?


ゴールを決めたとき?


アクロバティックなフェイントで相手を欺いた時?




俺は違う。


試合を見ててもゲームをしていても俺が一番楽しいと感じる瞬間は相手を崩せた瞬間・・・・・だ。




結果が付けばなお上等。




修斗はそのままゴールを決めた。




4-0で試合は終了する。




俺の初めての試合は勝利で終えることができた。

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Become a legend~前世でサッカーが出来ずに生涯を終えたサッカーオタクが俯瞰の目を持って日本を強豪国入りさせる話~ 水早セナ @minamishosuke

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