属性魔法(無属性含む)
「そして筋肉を鍛えよう」
――さっきも聞きましたよ?
「大事な事だから何度でも言うよ。筋肉を鍛えよう!」
――やはり筋肉式というだけあって筋肉が重要なんですね。
「もちろんだとも。筋肉式魔法運用術において筋力は魔法の威力に直結するからね」
――それでは筋肉式魔法運用術について伺っていきましょう。
「筋肉式魔法運用術はその名の通り筋肉にて魔法を扱います」
――えっと……馴染みのない方だと既にその時点でついてこれないんですよ。本来、魔法は魔力と精神力がモノを言いますよね。
「大丈夫、安心してください。筋肉式魔法運用術において魔力は魔法を発動できる最低限の魔力量があれば問題ありません」
――今の時代は誰でも魔法を発動できるだけの魔力は持っていますから、誰でも筋肉式魔法運用術が使えるという事になりますが?
「流石に誰でもと言うと語弊がありますね。ですが、冒険者をしている方であれば誰でも筋肉式魔法運用術ができる可能性はあります」
――それは素晴らしいですね。ちなみに精神力に関してはどうでしょうか。
「健全なる精神は健全なる筋肉に宿る!」
――健全なる肉体じゃありませんでしたっけ? まぁ、なんとなく言わんとしている事は分かりますけど。
「筋肉式魔法運用術の為に筋トレをしていればおのずと精神力も鍛えられよう」
――いや、むしろ逆では?
「と、言うと?」
――筋肉式魔法運用術の為に筋トレを続けらる精神力がないと使えないのではないかと思うのですよ。
「先ほども言いましたが筋肉式魔法運用術の真価を引き出すのに筋力が求められるだけで、筋肉式魔法運用術は身体が動かせるのであれば使えますから」
――それは朗報ですね。それでは筋肉式魔法運用術ではどの魔法を用いるのでしょうか。
「基本的には無属性を含む攻撃系の属性魔法ですね」
――それはまた、意外ですね。
「なぜか皆さん筋肉式魔法運用術と聞くと身体強化魔法を連想しますから」
――仕方のないことかと。
「是非ともうちが上げている動画を見て、そのイメージを払拭してほしいですね。動画はホームページからでも見ることが出来るので興味のある方一度ご覧になってみてはいかがでしょうか」
――だから、勝手な宣伝はやめてくださいって言ってますよね。その動画は私も見ましたが……
「動画を見れば筋肉式魔法運用術がどういうものか一目瞭然だったでしょう?」
――正直に言いますと見た瞬間、自分の目を疑いましたよ。
「何故? フレイムランスを投げたり、ボール系の魔法を蹴ったりしているだけの動画だったはずですが」
――だからですよ!? どうして実体のない炎や雷が手で持てるんですか。
「魔法ですからね。持てる! と思えば意外と持てたり蹴り飛ばしたりできるもんですよ。自分の魔法限定で、ですけど」
――いや、そこはまぁ百歩……千歩譲っていいとしましょう。問題は威力ですよ。魔法耐性が強い事で知られるミスリルゴーレムに貴方が投げたフレイムランスで風穴を空けてませんでした?
「あ、別に魔法を投げなくても魔法を手に持ったまま殴ってもいけますよ」
――もう、それ魔法の必要あります? その辺の石ころでも……いえなんでもありません。
「キッカケは石ころでしたね。そういえば」
——はい?
「ストーンバレットの石弾やアイシクルショットの氷弾が飛ぶ速度より自分で投げた方が速いと思って、試しに投げてみたんですよ」
——確かに魔法を覚えたての頃はそう感じる事はあるかもしれませんが……
「そうしたら威力が上がったんです。普通に魔法で当たるよりも、その辺の石を投げるよりも」
——ほう?
「魔法を手で持って投げると投げた力、筋力が上乗せされるのか威力が上がるんです」
——なるほど、筋力が威力に直結するわけですね。
「それだけじゃなく、より魔法を感覚的に使えるようになります」
——そういえばファイヤボールで変化球投げてましだけど、どういった原理なんですか?
「さぁ?」
——ほ、他に筋肉式魔法運用術の利点はありませんか?
「筋力が上乗せされる分、魔法の射程が伸びます。あとは魔法の細かい制御が必要無くなるのも利点ですかね」
——大魔法もぶん投げる気ですか……
「必要とあらば。それと副次的な効果ではあるんですが、筋肉がつく分打たれ強くなります」
——ま、まぁ後衛が打たれ強くなるのは頼もしいですね。
「打たれ弱いとバカにされた君、うちに入会して鍛えて身体も魔法も鍛えてバカにした奴を見返してみないか?」
——だから、唐突な宣伝はやめろ! と、そろそろお時間ですね。
「もっと筋肉式魔法運用術を知りたくなった方は当方までご連絡を!」
——だから……もぅいいや。詳しい連絡先は本誌巻末の広告ページをご覧ください。それでは本日は取材に協力いただきありがとうございました。
「どういたしまして」
——最後に何か一言あればどうぞ。
「君の魔法の悩みは筋肉が解決してくれるよ」
特集『筋肉式魔法運用術』 〜週刊ダンジョン現代〜 真偽ゆらり @Silvanote
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます