マッスルストーリーズ
文月 和奏
Aランクの洗礼
「ふぅ……今日も僕の筋肉【ミート】は美しい……」
声の主の名は「
彼は毎朝、陽光を身体で受け筋肉に力を与える。
この世界は筋肉が強さと権力の象徴である。
筋肉の力……略して「ミート」
筋肉量・艶・弾力などで計られ、数値でランクが決まる。
ランクは「A・B・C」とあり、更に細分化され「1~5」の番号で分類される。
頂点は5で、最も身分の高い者を「王」という。
弾護は自身のミートを日夜鍛え、今ではB5ランクになっている。
彼が目是すのはA5の頂き、この世界の王となる事である。
だが、AとBの境界線は果てなしなく遠く……苦しい道のりである。
「はぁ……弾護様、身体を鍛えるのも良いですが、その……服を着てください」
筋肉に見惚れているメイドが彼に声をかける。
「あぁ……すまない。気よ付けてはいるのだけど、見惚れてしまってね」
弾護は、はにかんだ笑顔で答えたあと上着を着る。
上着と言っても軽量のベストのような物で、筋肉を最大限に見せる工夫が要所に見受けられる。
さて、今日も日課の散歩に行こう。そう言って彼は屋敷を出る。
数分ほど歩き行きつけの公園へとたどり着く、そこである人物に声を掛けられる。
「弾護、待ていたぞ!今日こそ私の筋肉の虜にしてやろうぞ!」
そう高々に宣言をし弾護へと対抗心を抱く男性が現れる。
彼の名は「
弾護と同じ同じB5ランク、長年のライバルである。
二人が出会った時、戦いが始まる。と思われた。
「待ちなさ~い! あなた達、往来で何始めようとしてるの!?」
怒号の勢いで二人の間に入る人影が。
彼女の名前は「
弾護の恋人である。
「小肉、男には引けぬ戦いがあるんだ。邪魔をしないでくれ」
「小肉さんすまない。あなたであっても弾護との戦いの邪魔はさせない」
聞く耳を持たぬ二人、彼女は呼吸を整え静かに拳を繰り出す。
「ぐっ……」
「ぐぁ……」
彼らは両膝を折り悶絶する。
あの一瞬の間で放たれた小肉の拳が二人の腹を穿ったのだ。
「これでいいかな?文句は言わせないよ」
「くっ……またミートを上げたか小肉!?」
「いつの間にこれほどの力を!?」
二人を目を見開き驚愕する……小肉のミートに。
「二人が仲良く遊んでいる間にね。私はAランクになったのよ――跪きなさい」
彼女は自身の耳を見せる。
そこにはAランクだけが持つことを許されるリングが付いていた。
「な、なんだと……」
「ま、まさか……」
「弾護、弱い男には興味はありません。恋仲もこれで終わりです。悔しかったらAまで来ることね。豚いくわよ」
「ぐへへっ、俺より弱いとかありえねーな。ほな、おでは楽しませて貰うわ」
そう言い残し、彼女は去っていく。新しい男と共に。
「く・・・・・あんな豚野郎に小肉が……」
「あの豚、覚えてやがれ……!」
弾護と摘入は決意する。
Aランクになり彼女と豚を見返すと……
こうして二人の暑苦しいマッスルストーリーが始まるのであった。
マッスルストーリーズ 文月 和奏 @fumitukiwakana
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