鋼鉄獅子
柊 撫子
鉄拳制裁
朝の鍛錬をしていた王様は、家臣からの知らせを聞いて驚きます。
「なんだと?奴らは今どこに」
「王都北西部へ接近しつつありますが、どうか早急にご決断を!」
家臣の訴えを聞き、王様は鍛錬器具を置きました。
そして深紅のマントを身に着け、深く息を吸います。
城中に轟くような声で命令を下す為です。
「我が騎士団よ!各自装備を整え北西の砦へ防衛線を張れ!!警備兵は北西部周辺に住む民の避難誘導、救護班と魔術師は北西の砦内で待機せよ!!」
王様の命令によって、北西の砦に多くの兵が集中しました。
砦の向こうには悪しき竜が羽ばたき、無数の魔物を率いています。
悪しき竜はビリビリとした咆哮を上げ、こう言いました。
「我は弱者が嫌いだ。我こそは強者だという者だけが我が前に現れよ」
悪しき竜の言葉を聞き、王様は閃き家臣たちへこう言います。
「私を投石機へ乗せてくれ。直接話を付けてくる」
王様の突飛な発言に家臣たちは戸惑います。
「いけません!いくらあなた様が強いからと言って、単騎で向かわせるわけには……!」
「だが私はお前たちが傷つくのを見たくない。すまないな」
そう言って、王様は投石機へ乗りました。
こうなっては誰も止められません。
「三、二、一!発射します!!」
騎士の掛け声と共に王様は発射されました。
勢いよく迫り来る王様に対し、悪しき竜が語り掛けます。
「よくぞ我が前に躍り出た、その勇気をたた―――」
「やかましい!!」
王様は鋼鉄のような拳を悪しき竜の眉間へ打ち込みました。
渾身の鉄拳を喰らい、悪しき竜は白目を向いて力なく墜落していきます。
ずどん、と地面に激墜した悪しき竜の上に王様が着地しました。
悪しき竜を一撃で倒し踏みつけている王様を見て、魔物たちはぞくぞく逃げていきます。
王様は呟きました。
「鍛錬に戻るか」
そうして王様は歓声を浴びながら城へ戻り、鍛錬を再開しましたとさ。
めでたしめでたし。
鋼鉄獅子 柊 撫子 @nadsiko
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