幼なじみのスカートの中にダンジョン入り口が出来たんだが
花月夜れん
幼なじみ女子は筋肉好きか?
今、オレの目の前で光を放っているのは同い年幼なじみの女子高生
ちなみにどこが光っているかというと、スカートの中だ。
オレは今日、十六歳の誕生日を迎えた男、
世界中で人が十六歳を迎えた日、どこかに自分専用のダンジョンがあらわれる。入り口はその時同時にあらわれる腕輪が教えてくれる。腕輪が光を伸ばし指し示してくれる。そう、こんな風に。
「いや、いやいや。幼なじみのスカートの中にどうやって行けって言うんだ!?」
ダンジョンに入り、才能を開花させたり金をゲットできるようになるはずだったのに。
他人のダンジョンに行くことは出来ない。だから、自分専用が出来るのを心待ちにしていたのに。
神様はなんという悲劇をもたらしてくれるんだ。
「おいっ」
長い髪を一つにまとめポニーテールにしている絵美がおしりを押さえながらこちらにふり返る。
「まさか、え、いやいや? 何かの間違いだよね!?」
いや、間違いではない。現在進行系でお尻が煌めいている。
オレのダンジョン入り口はそこだ。というか、そこしかない。
真っ赤な顔でパクパクと口を開け閉めする彼女は、少ししてなんとか落ち着きをみせてきた。よし。
「お願いします。スカートをめくってもよろしいでしょうか」
「ダメ」
「オレの将来がかかってるんだよ?」
「ぜ、ぜったいダメ!! だって、今日は……。とにかくダメぇぇぇ!」
「え、えぇぇぇ!?」
拒否されオレががくりと肩をおとしていると、絵美は口をむぅと尖らせながら言った。
「そんなナヨナヨでダンジョンに入ったら死んじゃうかもしれないでしょ!」
確かに、奥に行くほどダンジョンは強くなっていくらしい。だけど、今日は下見程度なのだ。だから、ナヨナヨでだって問題n――。
「一ヶ月。一ヶ月で筋肉をつけてきなさい。私がいいと思うくらい鍛えてこれたら許可してあげる!」
こうしてオレは一ヶ月ダンジョンに入れず筋トレするはめになった。ダンジョンで筋肉スキルを上げたほうが効率がいいのに。そう呟くと、じゃあ半年と言われて急いで謝った。
何で、あそこにダンジョンが出来るんだよ!!
入るたびに絵美のパンツを見る事になるじゃないか。
ふと、考えオレは筋トレを開始した。
小さい頃から好きだった幼なじみのパンツを毎回見れるだと!?
オレは一ヶ月頑張った。実は誕生日前からダンジョンのために鍛え始めていたので自分でもなかなかいい体に仕上がったと思う。
「どうだ!」
タンクトップになって絵美にみせつける。彼女は真っ赤になっていた。
「い、いいんじゃない。約束だし……、はい」
彼女は後ろを向いてゆっくりとスカートをたくしあげる。
太ももが柔らかそうで飛び込みたくなるのを必死に抑える。用があるのはその先、ダンジョン入り口だ。そう、きっと空のようにきれいな水色だったり、踏み入れる事を拒む真っ白な雪原だったり、咲き乱れる花畑だったりする……。
見えたっ。
と思ったらダンジョンの中に入っていた。
◇
「昨日のは何色だったんだ」
「知らない。知らないっ」
「聞いてくれ、どうやらパンツの色でダンジョンの属性が決まるみたいなんだ」
「知らないー!!」
く、出来れば今日は体調が良くないので癒し属性のダンジョンになって欲しいのだが……。筋肉はいじめぬきすぎてもいけない。たまには筋肉休みをいれなくては。
だというのに絵美ははいてくるパンツの色を教えてくれない。検証してみたいのだけれど、教えてくれないのだ。
「あぁ、そういえば」
「何?」
「いや、今日絵美誕生日だろ? オレのマッスルポーズ写真をプレゼントしよう」
「い、いらないわよ!」
「そうか、なかなかいい筋肉になってきたんだけどな。というのは冗談でこれ、ダンジョンで拾ってきたんだ。キレイだろー」
アクセサリーを渡そうとすると写真ごと持っていかれた。
やっぱり、絵美は筋肉が好きだったりするんだろうか。つまり、このまま頑張って鍛え続ければいつかムキムキのオレの告白を受け取ってもらえる!?
「ありがとう。はやく、クリアーしてよね。毎回パンツ見せてる身としては――」
「頑張るよ。そうだ、絵美はダンジョンの入り口はどこだった?」
「え、まだ探してないけど」
腕輪をかざし、入り口の在り処を問う。
光が伸びてきて、――――オレのそれなりにムキムキになった尻が光を放った。
幼なじみのスカートの中にダンジョン入り口が出来たんだが 花月夜れん @kumizurenka
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