第19話 アタシが彼女になってあげようか?
朝、俺はゆっくりと目を覚ます。
窓に目を向けると、カーテンの隙間から太陽の明るい光が差し込んでいた。
もう朝か……。
チラッと横を見ると、全裸のナナミがスヤスヤと気持ち良さそうに寝ていた。
そんな彼女を見て、思わず頬が緩む。
そっか、あれは夢じゃなかったのか。
昨日、俺たちは朝までエッチした。
本当は一回で終わるつもりだったけど、ナナミが魅力的すぎて何回も求めてしまった。
朝までエッチしたせいで全身が怠い。
今日は何もしたくない気分だ。
これが賢者タイムってヤツか。
最近はエッチも自家発電もしてなかったから賢者タイムを味わうのは久しぶりだ。
賢者タイムってこんなにキツかったっけ……?
「うわぁぁ……なんだこれ」
ゴミ箱の中にティッシュと使用済みのゴムが大量に散らばっていた。
こんなに使ったのか……。
しばらくしてナナミが目を覚ました。
「おはよう、ナナミ」
「うん、おはよう、翔吾くん」
ナナミが俺に明るい笑顔を向けてくる。
その笑顔が可愛くてドキドキが止まらない。
相変わらず、ナナミの笑顔は魅力的だな。
「って、アタシ裸じゃんっ! うわぁぁ……めっちゃ恥ずかしいんだけど」
自分が裸だと気づいて慌て始める。
「今更恥ずかしがるなよ。昨日たくさんエッチしたじゃん」
「そうだけどさ……なんか恥ずかしいっ。あっ、そのTシャツ取って」
「ん? このTシャツ俺のだよ?」
「いいじゃん、貸してよ」
「はいはい、分かったよ」
俺は床に落ちているTシャツを拾って、ナナミに手渡す。
ナナミはTシャツを受け取り、すぐにそれを着る。
俺のTシャツなのでサイズが合っていない。
ダボダボだ。
「アタシたち、昨日エッチしたんだよね?」
「うん、シちゃったな……。後悔してるか?」
「ううん、全然してないよ。翔吾くんは?」
「俺も後悔してないよ」
「ふふ、そっか」
昨日、俺はナナミとエッチすることに抵抗感を感じていた。
恋人じゃない人とエッチすることが嫌だったんだ。
ほら、普通セックスって恋人同士がすることじゃん?
だから幼馴染とエッチしたら絶対に後悔すると思ったんだけど、実はそんなに後悔していない。
ナナミとエッチできてよかった、と今は思っている。
ナナミも後悔しているようには見えない。
むしろ、幸せそうだった。
「あぁぁ~、お腹空いた。翔吾くん、何か食べたい~」
「菓子パンならあるけど……食べるか?」
「うん、食べる」
最近コンビニで買った菓子パンをナナミに渡す。
彼女は袋を開けてパクパクと菓子パンを食べ始めた。
俺もナナミの隣に座って菓子パンを食べ始める。
朝から料理するの面倒くさいから、朝食はいつも菓子パンなんだ。
そもそも、俺料理できないし……。
「ナナミ、これからどうするつもりなんだ?」
「うーん、分からない。本当にどうしようかな……」
ナナミはやや困ったような表情を浮かべる。
本当に何も考えてないのか……。
「とりあえず、実家に帰ったらどうだ?」
「それは絶対無理っ。家帰ったらまたパパと喧嘩しちゃうもん……」
「……」
「今はパパと会いたくないの。だからしばらくここに泊めてっ……お願いっ、翔吾くん」
ナナミの言葉に俺は「はぁ……」とため息を吐く。
「分かったよ。好きなだけ泊まってくれ」
俺がそう言うと、ナナミの目はキラキラと輝く。
「ありがとう! 翔吾くん!!」
「え!? あっ、ちょっと!? ナナミさんっ!?」
急にナナミがギュッと抱き着いてきた。
豊満な胸が俺の胸板や腹部に当たる。
な、ナナミさん、おっぱい当たってますよ? 気づいてますか?
たぶん、これはわざと当てているな……。
「あっ……ごめんっ、アタシとハグするの嫌だったよね?」
「ううん、全然嫌じゃないよ」
俺はそう言ってナナミを抱き返す。
すると、彼女は「えへへ」と幸せそうな笑顔を浮かべる。
うん、やっぱりナナミは可愛いなぁ……。
そういえば、今のナナミは彼氏がいなかったな。
これってチャンスじゃね?
今告白したら絶対に成功する気がするんだけど……。
こうなったらナナミに告白してみようかな?
いや、ちょっと待て……。
ここは慎重になるんだ。
焦っても悪い結果にしか繋がらないからな。
とりあえず、もう一度ナナミに彼氏がいないか確認するぞ。
「ナナミは彼氏いないんだよな……?」
「え? 急になに?」
「いいから答えてくれっ。お前、彼氏いないんだよな?」
「うん、いないよ。つか、彼氏いたら翔吾くんとエッチなんかしないよ」
「ははっ、そりゃそうか」
確かに、彼氏いたら俺とセックスしないよな。
はぁ……相変わらず俺はバカだな。
ちょっと考えたら分かることなのに……。
「翔吾くんも今は彼女いないんだよね?」
「うん、いないよ。彼女ほしいんだけど、俺モテないからな……」
「あはは……そうなんだ」
早く可愛い彼女を作ってイチャイチャしたいっ。
けど俺はイケメンじゃないからなかなか彼女できないんだよな……。
そもそも、出会いがないんだよな。
はぁ……どうやったら彼女できるんだろう?
落ち込んでいる俺に、再びナナミが話しかけてきた。
「翔吾くんは彼女ほしいんだよね?」
「そりゃほしいに決まってるだろ」
「ならアタシが翔吾くんの彼女になってあげようか?」
「……」
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