第17話 幼馴染と最後まで……

「ここが俺の家だよ」

「へぇ~、そうなんだ」


 二階建てのアパートを見て、ナナミはキラキラと目を輝かせる。

 

 今日からこのアパートでナナミと一緒に生活することになった。

 ナナミと二人きりで生活か。

 そう思うと、なんか緊張するな……。

 

 2階の1番奥が俺の部屋だ。


 早速、俺は家のドアを開けて中に足を踏み入れる。

 ナナミも『お邪魔します〜』と言ってから家の中に入った。

 俺たちは玄関で靴を脱いで奥に進む。


「へぇ〜、ここが翔吾くんの部屋か。意外と綺麗だね」

「昨日掃除したからな。いつもはもっと散らかってるよ」


 ナナミは俺の部屋を興味深そうに眺めていた。

 女の子に自分の部屋見られるの嫌だな。

 なんか恥ずかしい……。


「ねぇねえベッドの下にエロ本とかあるの?」

「そんなのないよ。俺、デジタル派だし」

「ちっ、デジタル派かよ……つまんねぇ」


 ベッドの下にエロ本とエロ動画はないぞ。

 そういうのはパソコンとスマホの中に入っている。

 残念だったな、ナナミ。


 俺はベッドの縁に座る。

 ナナミは俺の隣に座った。


 たまに彼女の髪からフルーツのような甘い香りが漂ってくる。

 良い匂いだ。

 なんで女の子はこんなに良い匂いがするんだろう?

 本当に謎だ。

 

「ナナミは昨日までネカフェに住んでたんだよな?」

「うん、そうだよ」

「ああいうところって危なくないのか?」

「大丈夫、大丈夫。全然危なくないよ。パソコンあるし、漫画読めるし〜、シャワーもあるし。ネカフェは天国だよ」

「へぇ〜、ネカフェってシャワーもあるんだ。便利だな」

「うん、本当に便利だよ。ん? 翔吾くんはネカフェ行ったことないの?」

「うん、一回もないよ」

「ふーん、そうなんだ。じゃあ今度アタシと一緒にネカフェ行こうよ」

「お、おう、わかった……」


 今度、ナナミと一緒にネカフェに行くことになった。

 ちょっとだけ楽しみだ。


 なんてことを思っていると、急にナナミが俺の太ももに手を乗せてきた。

 幼馴染のボディタッチにドキドキが止まらない。


「もうエッチする……?」

「は……?」


 エッチだと?

 コイツ何言ってんだ?

 混乱している俺に、ナナミが説明してくれた。


「ほら、この家に泊めさせてもらう代わりに好きなだけヤらせてあげるって約束したでしょ?」

「そういえばそんな約束してたなぁ」


 ふとナナミの言葉が脳裏に浮かぶ。

 

 ――ヤらせてあげるからしばらくアタシのこと泊めてくれない?


 あの言葉は本当だったのか……。


 ぶっちゃけ、今すぐナナミとセックスしたいけど、本当にそれでいいのかな?

 なんか間違えているような気がする。

 

「……本当にいいのか?」

「うん、いいよ。アタシのことたくさんムチャクチャにして」

「けど俺たち恋人じゃないぞ? やっぱり、こういうのは恋人同士がすることだと思うし……」


 セックスは恋人同士がする行為だと俺は思っている。

 恋人じゃない女の子とセックスするのはなんか嫌だな。

 抵抗感がある……。


「なぁやっぱりセックスするのはやめようぜ……」

「え? なんで? アタシとエッチするの嫌?」

「別に嫌ではないよ……」

「ならいいじゃん、セックスしようよ……」

「いや、けどさ……こういうのは恋人同士がすることだと思うし」

「はぁ……そんなのどうでもいいじゃん。難しいこと考えずにたくさん楽しいことシようよ。その方が絶対人生楽しいよ?」

「ほ、本当にいいのか……? マジでするぞ?」

「うん、いいよ……」


 ナナミはそっと瞼を閉じて俺に薄い唇を向けてくる。

 彼女のキス顔にドキっとしてしまう。


 本当にいいのかな……?

 やっぱり、こんなの間違えてるような気がする。


 ふとナナミの言葉を思い出す。


 ――難しいこと考えずにたくさん楽しいことシようよ。その方が絶対人生楽しいよ?


 確かに、難しいこと考えながら生きるより、脳死で生活する方が絶対に楽しいよな。

 

 はぁ……もういいや。

 難しいこと考えるのはやめよう。

 今はこの時間を何も考えずに楽しめばいいんだ。


 俺はナナミの肩を掴んで、薄い唇に顔を近づける。


「っ……」


 気づいたら俺とナナミの唇は重なっていた。

 女の子とキスするの本当に久しぶりだな。

 

「ちゅっ……翔吾くん」

「ナナミ……」

「んっんっ……ちゅっ、ちゅっ」


 ナナミとキスするの気持ちいいな。

 気持ち良すぎて頭の中がフワフワしてきた。


「んっんっ……ちゅっ、ちゅっ」


 何十秒もキスしていた俺たちは、そっと唇を離す。

 ナナミの顔はトロトロに蕩けていた。

 目の奥はピンク色に染まっている。

 完全に発情しているな。


「ふふ、久しぶりにキスしたね」

「だな……」


 幼稚園の頃、俺たちはふざけてキスしたことあるんだ。

 あの時のキスは唾の味がしたけど、さっきのキスは甘い味がした。


「ねぇもう一回キスしよ?」

「あぁ……」


 再び俺たちは唇を合わせる。

 ただのキスじゃない。

 舌を絡め合う熱くて濃厚なキスだ。


「ちゅっ、んっんっ……ちゅっ、んちゅっ、翔吾くんっ」

「ナナミ……」

「ちゅっ、ちゅっ……」


 熱いキスをしながらお互いの服を脱がせ合う。

 ナナミは下着姿になった。

 

 下着姿のナナミに目を向けると、彼女の頬は赤くなる。

 恥ずかしいんだろう。

 

「地味な下着でごめんね。今日エッチすると思ってなかったから」

「ううん、全然地味じゃないよ。めっちゃ可愛い」


 俺がそう言うと、一瞬で顔を真っ赤にするナナミ。

 耳と首も真っ赤に染まっていた。

 照れてるのかな?


「ほんと……? アタシ可愛い?」

「あぁ、凄く可愛いよ、ナナミっ」

「嬉しいっ……んっんっ、ちゅっ、ちゅっ……」


 再び俺たちは顔を近づけて唇を重ねる。

 自然と舌を絡め合う。


 部屋中にチュッチュッとリップ音が鳴り響く。

 そのリップ音が聞こえてくる度に、俺の理性は追い詰められる。

 あぁぁ……やべぇぇ、もう我慢できねぇや。

 

 我慢できなくなった俺はナナミを押し倒す。

 すると、ナナミは驚いた表情になる。


「もう我慢できない……?」

「あぁ……我慢できないっ。悪いけど、今日はたくさん相手してもらうから」

「うん……いいよ。きて」


 今日、俺たちは最後までした。

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