第10話 告白

 ――次の日――



 昨日、アタシは中村亮太くんと別れた。

 アタシから振ったの……。


 亮太くんはアタシのことが嫌いになったらしく、連絡先をブロックされた。

 SNSのアカウントもブロックされちゃった。


 今日、学校で『昨日は本当にごめんっ!』と謝ったけど、無視されちゃった。


 はぁ……亮太くんに嫌われちゃった。

 まぁ仕方ないよね。

 亮太くんからすると、アタシは最低な女の子だし。

 

 亮太くんと別れて、アタシはフリーになった。

 よしっ、これで翔吾くんに告白できる……。


 たぶん、告白は成功すると思う。

 翔吾くんもアタシのこと好きだと思うし。

 

 まぁもしフラれたとしても、その時はもっと積極的にアプローチを仕掛けて、再び告白すればいいだけだ。

 

 うん、そうだよ。

 翔吾くんにフラれたらもっと積極的にアピールして、何度も告白すればいいんだ。

 諦めずに何回も告白したら、絶対に翔吾くんと恋人になれるはずだ。

 

「あの……翔吾くん?」

「……」

「ねぇ翔吾くんってばっ」


 翔吾くんに話しかけてみたけど、今日も無視してくる。

 はぁ……なんで無視するのかな。

 翔吾くんのいじわるっ……。


 黙り込んでいる翔吾くんに、再びアタシは話しかけた。


「大事な話があるんだ。だから今日の放課後、屋上に来てっ」

「……」

「絶対に来てね? アタシ待ってるからっ……」




 ◇◇◇




 放課後、アタシは教室を出て屋上に移動する。

 屋上にやってきたアタシは、近くのベンチに座って翔吾くんを待つ。


 翔吾くん、屋上に来てくれるかな……。

 もし来てくれなかったらどうしよう。


 なんてことを思っていると、急に屋上のドアが開かれた。

 現れたのは翔吾くんだった。


 あっ、翔吾くん! 本当に来てくれたんだっ!

 

 屋上にはアタシと翔吾くんしかいない。

 二人きりだ。

 よし、これなら翔吾くんに告白できる。


 アタシはベンチから立ち上がって、翔吾くんに話しかけた。


「翔吾くん、来てくれてありがとうね」

「お、おう……。それで、大事な話ってなんだよ?」

「えーっと、それはその……」


 男の子に告白するのは初めてだから、緊張してしまう。

 緊張しすぎて、さっき考えた告白のセリフを忘れてしまった。


 ヤバいっ、さっき考えた告白のセリフ忘れちゃったよ。

 どうしようっ、本当にどうすればいいんだろうっ……。


 パニック状態に陥っているアタシを見て、翔吾くんは小首を傾げる。


「どうした、ナナミ? 顔色が悪いぞ?」

「……」

 

 早く告白しないと……。

 けどなんて言えばいいんだろう? 

 さっき考えた告白のセリフは忘れちゃったし……。


 あぁぁ~、もうなんで告白のセリフ忘れちゃうのかなっ。

 アタシのバカっ……。


 ダメだ、分からない。

 本当にどうすればいいんだろう……。


 男の子に告白されたことはあるけど、自分から男の子に告白するのはこれが初めてだ。

 だから、どうやって告白すればいいのか分からない。


 どうすればアタシの気持ちを翔吾くんに伝えられる?

 どうやったらアタシの気持ちを翔吾くんに分かってもらえる?


 シンプルに『好き』って言えばいいのかな?

 うんっ、それだよっ。

 それでいいんだよ。

 シンプルに『好き』と言えばいいんだ。

 それだけでいいんだ。


「す、すす……」


 ダメだ、緊張しすぎて『好き』と言えない。

 ただ好きな人に告白するだけなのに、なんでこんなに緊張しちゃうんだろう?

 本当に謎だ。

 

 アタシは「すぅ、はぁ……」と深呼吸をする。

 冷静さを取り戻したアタシは自分の気持ちを大好きな人に伝えた。


「翔吾くんのことが好きです……」

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