第3話 ドタキャン
今日は10時からナナミと遊ぶ約束をしている。
それを思い出した俺は慌てて寝癖を整えたり、歯を磨いたり、洗顔をしたりする。
ヤバいっ、寝坊しちゃった……。
急がないと遅刻しちゃう。
急いでスマホや財布をポケットの中に入れて家を後にする。
ちゃんと玄関ドアのカギを閉めてから待ち合わせ場所に向かう。
待ち合わせ場所は駅の広場だ。
しばらくして駅の広場に到着した。
ナナミのヤツ、まだ来てないのか。
仕方ない、アイツが来るまで待つか。
俺は近くのベンチに座ってナナミを待つ。
5分、10分、30分、60分。
一時間経ってもナナミは待ち合わせ場所に現れない。
ナナミのヤツ、遅いなぁ……。
もう一時間遅刻だぞ?
もしかして何かあったのかな……?
なんてことを思っていると、急にナナミから電話がかかってきた。
俺は慌てて電話に出る。
「おいっ、ナナミ! 今どこにいるんだよっ! もう一時間も遅刻だぞ?」
『……ごめん、今日遊べなくなった』
「え……?」
ナナミの言葉に頭の中が真っ白になる。
遊べなくなっただと……?
なんだよそれ。
ドタキャンじゃんっ。
「なんで遊べなくなったんだよ……?」
「急に亮太くんとデートすることになったんだ。だからその……ごめんね。今日は翔吾くんと一緒に遊べない」
「……」
急に亮太くんとデートすることになっただと……?
えーっと、つまり、ナナミは俺との約束を破って中村とデートするってことだよな?
おいおい、それマジで言ってる?
最初に約束したのは俺だぞ?
なのに、ナナミは彼氏を優先するのか……?
「さ、最初に約束したのは俺だぞ……?」
「うん、そうだね……。けどごめん、今日は亮太くんとデートしたいから翔吾くんとは遊べないっ。本当にごめんね」
「……」
ナナミの言葉に黙り込んでしまう。
なんでだよっ、なんで彼氏を優先するんだよっ。
先に約束したの俺じゃんっ。
なのにどうして……。
もちろん分かってるよ。
普通は幼馴染じゃなくて彼氏を優先するよな。
けどやっぱり納得できないっ。
だって先に約束したの俺なんだぞ……?
一時間も待ち合わせ場所でナナミのこと待ってたのに。
ナナミと遊ぶの楽しみにしてたのに……。
なのに、どうして彼氏を優先するんだよっ。
いくらなんでもこれは酷すぎるだろ……。
『あっ、もうこんな時間だっ。早くデートの待ち合わせ場所に行かないと遅刻しちゃうっ』
「……」
『じゃあね、翔吾くん。またあとで連絡するから』
ナナミはそう言って電話を切った。
スマホのスピーカーからナナミの声が聞こえなくなり、周囲が静寂に包まれる。
ナナミは今から中村とデートするのか……。
ちっ、なんだよそれ。
お前も俺の姉ちゃんと同じかよっ……。
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