第2話 寂しい
――次の日――
「翔吾くんのおかげで亮太くんと付き合えたよ!」
「ははっ、そっか。良かったな、ナナミ」
「うん!」
昨日、中村がナナミに告白したらしい。
その告白にナナミは良い返事をして、二人は付き合うことになった。
中村と恋人になれて、ナナミは凄く嬉しそうだった。
ははっ、本当に良かったな、ナナミ。
幸せになれよ。
「さてと、そろそろ帰るか、ナナミ」
「え? あっ……ごめんっ、翔吾くん。今日は一緒に帰れない」
ナナミの言葉に俺は小首を傾げる。
「え? なんで一緒に帰れないんだよ? 用事でもあるのか?」
「……今日はね、亮太くんと二人きりで帰りたいんだ。だからその……翔吾くんとは一緒に帰れない」
あぁ~、なるほど。
中村と二人きりで帰りたかったのか。
「そっか。じゃあ今日は一人で帰るよ」
「本当にごめんね?」
「気にすんなって。全然怒ってないから。それより、中村と上手くやれよ?」
「うんっ!」
俺は教科書と筆記用具をカバンの中に仕舞ってから教室を後にする。
靴箱で上履きから外靴に履き替えて帰り道を歩き始める。
俺はいつもナナミと一緒に下校している。
ナナミと一緒に下校するのが当たり前だったんだ。
けど、今日は一人だ。
一人で帰るの結構寂しいなぁ……。
今頃、ナナミは中村と一緒に下校してるのかな?
――二週間後――
「ナナミ、今日の放課後一緒に遊ばないか?」
「ごめん……今日も亮太くんと2人きりで遊ぶ約束してるの」
「え? お前ら今日もデートするのか……?」
「うんっ!」
「……」
最近、ナナミの付き合いが悪い。
全然俺の相手をしてくれないんだ。
『一緒に遊ぼうぜ』と遊びに誘っても、『ごめん、今日は亮太くんとデートするから無理』と断られる。
今日も遊びに誘ってみたけど、『ごめん、今日も無理……』と冷たく断られたよ。
ナナミのヤツ、俺じゃなくて彼氏を優先するんだ。
そのせいで最近の俺は一人ボッチだ。
ちょっとだけ寂しい。
はぁ……ナナミのヤツ、中村と恋人になってからマジで付き合い悪くなったよな。
もう俺のことはどうでもいいのかな?
もう中村のことしか興味ないのかな?
それはなんか寂しいな……。
◇◇◇
「ねぇねぇ翔吾くんっ!」
ある日、ナナミが俺に話しかけてきた。
珍しい、ナナミから俺に話しかけてくるなんて。
最近は彼氏に夢中で、全然俺の相手をしてくれなかったのに……。
「なんだよ、ナナミ? 何かあったのか?」
「よかったら、今日の放課後一緒に遊ばない?」
ナナミの提案に思わず「え……?」と間抜けな声を漏らしてしまう。
「中村と一緒に遊ばなくていいのか?」
俺がそう言うと、ナナミは陰鬱な表情になる。
「本当は亮太くんと一緒に遊びたいんだけど……今日は習い事があるみたいなんだ。だから翔吾くんと一緒に遊びたいの」
「……」
今日もナナミは中村と一緒に遊びたかったけど、相手が忙しいから仕方なく俺を遊びに誘ったのか。
なんだよそれ……。
俺はお前の都合の良い遊び相手じゃないぞ。
俺が『一緒に遊ぼう』と誘ったらすぐ断るくせに、なんで彼氏が忙しい時だけ俺に構ってくるんだよ。
ちっ、なんかムカつくな。
まぁいいか。
俺も久しぶりにナナミと遊びたかったし。
「アタシと遊ぶの嫌かな?」
「ううん、そんなことないよ。一緒に遊ぼうぜ、ナナミ」
「うん!」
放課後、ナナミと遊ぶことになった。
ナナミと二人きりで遊ぶのは本当に久しぶりだな。
めっちゃ楽しみだ。
◇◇◇
「あっ!? それズルいっ!! 翔吾くん! チート使ったでしょ!?」
「そんなの使うわけねぇだろ。つか、お前の方がズルしてるじゃねぇか」
現在、俺はナナミと一緒に対戦ゲームをしていた。
やっぱり、ナナミと一緒に遊ぶのは楽しいなぁ。
楽しすぎて時間があっという間に過ぎていく。
気づいたら午後の20時になっていた。
もうこんな時間か。
そろそろ家に帰らないとな……。
久しぶりにナナミと遊んだけど、本当に楽しかった。
また一緒に遊びたいけど、今のナナミには彼氏がいるからな。
たぶん、遊びに誘っても『ごめん、今日も彼氏と遊ぶから無理』といつものように断られるだろう。
はぁ……どうしてこうなったんだろうな。
とりあえず、ダメもとで遊びに誘ってみるか。
「なぁナナミ……」
「ん? なに?」
「お前って明日は暇か?」
「え? あっ、うん、特に予定はないけど」
「なら明日も俺と一緒に遊ばないか?」
「うん、いいよ!」
「え……?」
ナナミの言葉に俺は目を丸くする。
「マジで……? いいの?」
「うん、いいよ。明日は亮太くんと遊ぶ約束してないしね」
「……」
明日もナナミと一緒に遊ぶことになった。
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