男の美しく醜い争い【星降る世界の龍仙師番外編】

木曜日御前

これは男の矜持


「あの、何してるんですか」

 修行場で何故か、ルオ、グユウ、ジンイー、ハオジュンが上半身裸であった。

 また四人の横で、呆れたような顔をしたジョウシェンと今にも笑い転げそうなシュウエンがいる。


「揃ったし、筋肉自慢大会開始だ!」


 ジンイーはそういうと、自分の腕に力を込める。隆起する上腕の筋肉には血管が浮き上がる。流石様々な会議に出ず鍛えただけはある。


「俺が一番鍛えられているこの腕! 腹筋!」

「いやいや、俺だって負けてないよ」


 ジンイーに触発されたかのように、次はグユウが腹に力を入れた。いくつにも左右均等に割れる腹部の筋肉としなやかな腰の線は美しい。


「いや、グユウ。お前は細すぎるだけだって!」

「シュウエンさんにだけは言われたくないです!」


 しかし、シュウエンはそう言いながら笑い崩れたため、グユウは顔を真っ赤にしながらめずらしく叫んだ。


「まあまあ、俺の背中には勝てないぞ! これぞ兄貴の背中ってもんよ!」


 ハオジュンはそういうと、自分の背中を見せつける。鬼だ、筋肉の筋で鬼の顔らしきものが浮かんでいる。


 だが、しかし、一つ飛び抜けた人がいる。


「ふむ、皆いい筋肉だ」


 にこにこ笑いながら余裕の笑みを浮かべるルオ。太い腕、美しい腹筋、がっしりとした肩、背中も力を入れずとも鍛えられてるのがわかる。


「ルオ様が一番です!」

 ジョウシェンも何故か鼻高々である。

 しかし、その状況は覆される。


「阿呆どもめ」


 武器を作ってくれたイ先生である。褌一枚の姿を見るに、水浴びをして乾布摩擦をしていたよう。


 しかし、皆釘付けなのはその筋肉美。まさに長年の積み重ねが作り上げた筋肉は山の如し。若造が勝てるはずがない。完全勝利のイ先生は、表情一つ変えず無言で去っていった。


 その日の夜、部屋に訪れたセイに話すと、「まあ、お前は自慢するほど筋肉ないもんな」と鼻で笑われた。

 明日から鍛えようと、僕は強く心に決めた。

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