第16話 スタークラッシュ〜☆砕きを呼ぶ者〜(麩菓子)

千葉県 札幌市 カクヨム空間 第20ホール。


ここで、ある少女が演説をしていた。


「……静粛に。

皆さん、今回は私の演説にお集まりいただき、ありがとうございます。

本日、皆さんにお集まりいただいたのは他でもありません。

さて、初めてのお方もいるかと思いますので、一応自己紹介とこれまでの活動を話してしておきます。

私は星無ほしなし あやと申します。

カクヨム空間に5年前から出入りしており、約2000ほど作品を投稿してますが、今まで一度も☆をもらったことがありません。

いや、正確には☆をもらったことはあります。レビューと一緒に。

ですが、レビューには、拙作の誹謗中傷が書かれていたのです。

1度だけではありません。もう、100回ほどこのようなことがおきています。

応援コメントなどに書いてくる輩もいました。

そして、この事件で、私は決心しました。

レビューに、誹謗中傷に限りなく近い説教です。しかも長文で。

これを見た時、私は、このカクヨムにおいて、☆とは、良い意味でも悪い意味でも武器になる、と思いました。

☆の数が多いほど読まれ、☆が少ないほど読まれない。

☆だけで全てを判断する今のカクヨムの現状にもう、うんざりしました。

☆が少ないと、モチベーションにも繋がらないですし、読者側は、全て☆の数で決めます。

つまり、☆が少ない作品は、一生外に出ることができないというわけです。

今更ですが、この演説は公式には内緒で行っております。

つまり、知っているのはここにいる私たちだけです。絶対に他言無用でお願いします。

皆さんも、何故☆が増えないのか、そう思ったことありませんか?

何故、我々のような作家の作品が評価されないのか。

………逆に考えるんです。我々の作品は、☆が少ないわけではない。

向こうが、多すぎるだけだと!

など、展開がありきたりすぎて、どこが面白いのか全く理解できません(個人の感想です)。

では何故こんなに人気があるか。それは、安心感です。展開が読めているので、自然と安心感が湧いてくるのではないでしょうか。

それに、というのは、いつの時代も必ずトップにいます。

これは、斬新さがある我々の作品が、斬新さのないどこにでもある作品たちの土台にされているというわけです。

そう考えたその日から、私は活動を始めました。

『☆を消せ』や『☆を乱獲するな』と書いたプラカードを持ってカクヨム空間で叫び続けました。

最初は誰にも見向きにされませんでしたが、それでも諦めずに、血反吐を吐くほど努力し。

そうして今、大勢の皆さんの支持を得られたのです。

我々は次のステップに移行しようとしております。

我ら☆撲滅活動は、ついに☆を乱獲している奴らに、復讐できるのです!

さあ立ち上がってください!今こそ私のような☆に全てをぶち壊された人々を、救済し、☆を乱獲している奴らを滅ぼすのです!

そして、本当に評価されるべき作家たちの楽園にしましょう!」


会場内に歓声が広がった。


「では手始めに、この千葉県 札幌市のカクヨム空間から☆を一掃しましょう!」


「そうはさせないよ、星無 文」


「⁉︎」


「僕は品川ロマン。探偵さ」


舞台にコ○ンのコスプレをした中年男性が上がってきた。


「ふ、探偵が来るとは思ってなかったが、探偵だけならなんとか対処できる」


「残念ながら、僕は表向きは探偵。けど、本当は警察なんだ」


「⁉︎」


「カクヨム空間はすでに包囲している。観念しな」


「チッ、こんなコスプレしたわけわからんに捕まってたまるか!」


「あ!逃げた!追え!」


文はホールを飛び出して、廊下を猛スピードで走った。


「いたぞ!」


警官が先回りしていたようだ。彼女の前に警官が2人現れた。


「文容疑者を発見!」


「チッ、こんなとこで捕まったら、今までの苦労が全て無駄!……こりゃ戦うしかないな」


文はペットボトルを出した。それでも警官は油断しない。


「来い!来ないのならば、私から行くぞ!」


彼女は猛スピードで警官2人との間合いを詰めると、高くジャンプし、ペットボトルで彼らの額を叩いた。




ストッ


「私は5年間、政府から逃げていたんだ。こんな警官2人だけじゃ、私を捕まえることなんてできない」


警官2人は彼女の背後で倒れた。










「はぁ、今日も誰にも読まれなかったなぁ」


まめでんきゅう−ねこがため息をつきながら廊下を歩いていた。


「どうせ今日録画する料理企画も誰にも読まれないんだろーなぁ。







……ん?」


彼の前から文が猛スピードで走ってきた。


「何あの人⁉︎え⁉︎誰だよぉぉ!」


まめでんきゅう−ねこは回れ右して逃げた。


「ちょ、邪魔だ猫!」


彼女はまめでんきゅう−ねこをペットボトルで壁に突き飛ばした。


「ぐわぁぁぁぁ」


品川ロマンがまめでんきゅう−ねこの元に駆け寄った。


「大丈夫かね!君!」


「だ、誰?……コ○ン?」


「品川ロマン……探偵s」

「ねぇあの人ペットボトルで僕のこと突き飛ばしたんだよ!捕まえて!」


「奴は5年間、政府から逃げてきた指名手配犯。そう簡単に捕まれられるとは思えん」


「喋り方はコ○ンじゃないんだね」


著作権あれ的に駄目あれだからな。

奴をなんとか囮で誘って、とっ捕まえる以外方法はなさそうだ」


「囮って、何使うの?」


「麩菓子」

「⁉︎」


「奴の好物は麩菓子。つまりだ、この廊下に麩菓子を置いて、誘うことさえできれば!

さすが頭脳は大人男!」


「??????」


「だが、俺は麩菓子を買うほどのお小遣いがない。

女房にコスプレをやめない限り、お小遣いあげないって言われたからな」


「やめればいい話だと思うんだけどね」

「そうはいかんのじゃ。

ちゅーわけでよろしく」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「ちゅーわけなんだ」


「うせやろ……」


まめでんきゅう−ねこは、家に帰ると、そのことを皆んなに話した。


「もっと良い…とゆうかまともな方法はないのか?」


「まぁあの人、刑事さんらしいし、これしかないんじゃん?」


「発想だけもう少し大人になってくれ……」


「ま、まぁ、我々は麩菓子を作るだけで良いんですよね?」

「そう」


「なら私が今回は作りますよ!」


「えぇ、幽霊が作るの⁉︎珍しい!」


「結構重大だし、まめでんきゅう−ねこじゃ失敗するだろうから、安心だな」

「もう料理企画やめていい?」


「それだと同時にマスコットをやめるということになりますが……」

「それだと僕ホームレスになっちゃうってヤダーーーー!」


「…は、早く作ろうぜ?」


「そうですね。

まず、中火で熱したフライパンに有塩バターを溶かし、麩菓子を入れます。

全体がカリッとするまで3分程焼き、火から下ろし、粗熱を取ります」


「さすがに1から麩菓子を作るわけじゃないな。

安心した」


「私のこと職人か何かだと思ってるんですか⁉︎

……えっと、バットにきな粉を入れ、中火で焼いた奴の半量を入れまぶします」


「なんで半量なの?」


「知りません」


「やったー!僕と一緒d」

「お前はもうちょっと人の気持ちを考えろ」

「ふみまへんへした」


「バットに抹茶パウダーを入れ、残りの焼いた奴を入れまぶします。

はい完成」


「「早っ⁉︎」」


「えぇ、麩菓子はすでに作られていますし、アレンジレシピなので、結構簡単に作れます。

これを刑事さんに持っていきましょう!」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


品川ロマンは廊下に座って、財布の中を数えていた。


「はぁ、残り3円でどう生活すりゃいいんだ」

「刑事さ〜ん」


まめでんきゅう−ねこたちが、麩菓子が入った皿を持ってきた。


「おお!美味そう!くれるの⁉︎いっただっきm」


「さっきの星無 文って人どこ?」


「え?ああそういやそうだった。

すまない、財産お小遣いを数えていたら、いつのまにか記憶を失っていたようだ」


「お小遣いパワー強すぎんだろ」


「ん?魚?……そういや奴は魚も好きだったようだな。

よし、お前もこの廊下に縛り付けよう!」


「は⁉︎」

「だってよ、頑張ってwww」


「ま、まぁすぐに解放されますから……www」


「お前ら仲間意識とかないんか?」

「早くしないと奴がこの空間から逃げるだろーが!はよ来い!」


「なぜーーーーー⁉︎ってかそれって食われるって事じゃねーか!」


「人生から解放されるって意味ですよ、さっき私が言ったのはw」


「これで誰も文句言う人いなくなったね!」

「それだとこの小説が収集つかなくなりますが……」


「おいそこの警官2人、この魚を廊下に縛り付けろ」

「「はい」」


「ちょちょ待て!なんでだよぉぉぉぉぉ!」


その後彼は縛り付けられたが、星無 文は全く来なかった。













◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「はぁ、はぁ、はぁ、助けていただきありがとうございます。











Give me a follow heart!社長」


星無 文は路地裏で誰かと話していた。


…カクヨム空間ではなさそうだ。

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