第8話 料理王決定戦#2(牛丼)

まめでんきゅう−ねこたちは、広い厨房に連れてこられた。


「それでは、本日の審査員をご紹介させていただきます!

まず、1番はモン星最恐のクレーマーとして、恐れられている、ミノタウロスさんです!

モンスター独特の味覚と嗅覚、そして、普段から店長に発している罵倒技術が、挑戦者の心を折るに違いありません!

ミノタウロスさん、今のお気持ちは?」


「そうだなぁ、この大会、ギャラ出るんだろ?5兆円も借金してるからさ、めっちゃありがたいね。

あ、料理に関しては全く期待しとらんから。

それと番宣させてもらうね。

https://kakuyomu.jp/works/16817330647653038025


「流石現役クレーマー!言葉の1つ1つがキツいです!

さて、2人目は、料理を食べてはや数億年、アノマロカリスさんです!」


「ふははははは、我こそアノマロカリスだ。かつてカンブリア紀最強と呼ばれた種だ。

もし飯が不味かったら、俺の巨大顎ビッグジョーで全てを噛み砕くぜ?

闇の顎に砕かれて○ね!」


「……はい、ありがとうございます。

この年になってまだ厨二bゲフンゲフン、ロマンチストですね!

さて、最後は、光さえも逃さないその吸引力は、料理の味、見た目、匂い、感覚全てを吸い込む謎の物体、ブラックホールさんです!」


「……ども、よろしく、おなしゃす」


「……はい、どうもあざす。

では、早速ルール説明しましょう!

まず、今紹介しました3人が出すお題に合う料理を作ってください。

制限時間は30分です!

3人のお題にクリアできた人だけが料理王になれるのです!

ではまずはミノタウロスさんからどうぞ!」


「よし、俺が毎日食べているクソ不味い料理、牛丼を作れ!

ちな、普通の牛丼は禁止だ!」


「皆さん牛丼です!ではよーい、スタート!」


「え、共食いじゃね」


まめでんきゅう−ねこは引いた。


「うーん、大丈夫なんじゃん?その、モン星では」


「いや、生理的に大丈夫なの?あの牛さん」

「初めてお前に共感できたわ」


「ま、まあ早く作りましょうよ。毎日食べているということは、味に慣れているってことです。

つまり並みの味じゃ不合格になってしまいますよ、きっと」


「うーん、牛丼ってそんなアレンジできるか?」


「大丈夫!………まぁ僕ジンギスカンの方が好きなんだけどね」


「羊なんかよ⁉︎……なんか一気に不安になってきた!」


「大丈夫!僕の頭脳は無限大だよ?」

「せ、先輩、頑張ってください!」


「OK!今回は20分で作れるアレンジをするよ!

まず、準備として、長ねぎは、根元を切っておくよ。生姜は、皮を剥いておいてね」


「下準備だな」


「準備できたら、玉ねぎを適当に慎重に薄切りにするよ。

長ねぎ、生姜、ニンニクは、粗みじん切りにしてね。

サイコロステーキ先輩って呼ぼう」


「なんか、いつもと違ってふざけないな。

って言おうとしたけど、やっぱやめよ」

「僕生まれてから一度もふざけたことないよ」


「いやお前ふざけたことしかないの間違いだろ⁉︎」


「え、あれ素の状態なんだけど」


「余計頭おかしいと思われるぞ」


「ボウルに担々ペーストの材料を入れて混ぜるよ」


「混ぜると聞くと、前回のスポンジ師匠は思い出してしまいます……」

「え?師匠がなんかしたの?」


「師匠、なんか手のひらグルグル回してミキサーって言ってたんだよな……」


「え、僕よりヤバい人じゃん」

「何も反論できねぇ」


「先輩も手のひらドリルで混ぜてくださいよ!」


「デメニギスがやってくれるってよ」

「俺、ヒレだぞ?」


「ヒレドリルに改名しよう」


「どんだけ素手で回すの嫌なんだよ」


「中火で熱したフライパンに、ごま油、サイコロステーキ先輩を入れ炒めるよ。

ニンニクの香りが立ったら、牛切り落とし肉を入れ中火のまま炒めよう」


「伏線回収なのか?」


「牛切り落とし肉の色が変わったら、混ぜた担々ペーストの材料を入れ、中火で加熱するよ」


「準備が大事な料理ですね」


「牛切り落とし肉に火が通り、全体に味がなじんだら火から下ろすよ。

器にごはんをよそい、牛切り落とし肉をのせ、ラー油をかけ、小ねぎを散らして完成!」


「おお、いつもよりスムーズだな!」

「一言余計だよ?」


「でもこれはこれで見た目も良いですし、味も美味しそうですね」


「簡単に作れるから結構役立つと思うよ」

「へぇ、こんなすごい先輩久しぶりに見ました!」


「え……………」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「おっと、まめでんきゅう−ねこさん、もう作り終わったそうです!

おや、担々風ですね。どう思いますか?解説さん」


「そうだねぇ。ちょっとインパクト足りない気がするんだよねぇ。

なんつーか、いや、なんとなく」


「では、他の挑戦者を見ていきましょう!

まずは、ダンスコックマン選手からです!

やはり噂通り、踊りながら料理しています!

あのくねくねした動きは、確実に周りの挑戦者たちをイラつかせています!

彼はどうやらオムレツ風牛丼を作っているようですね!

どう思いますか?」


「そうだねぇ。まずオムレツ風って時点でもう面白いよ。

ついでにダンスのクオリティも高い。

彼は優勝候補になるんじゃないかな」


「おお、なんと解説から優勝候補だと言われてしまいました!今の発言、どう思いますか?ダンスコックマン選手」


「ありがたき幸せ。うっふうっふうっふっふ」


「キモい笑い方でございますね!

では、次は菱木 椛選手と、宮本 向日葵選手です!

な、なんということでしょう!肩書きがメスジャイアン&メススネ夫なのに、料理のクオリティが高い!

解説さん、どう思いますか?」


「これがギャップ萌えというのですかね。

彼女らは顔立ちも良いし、料理も上手いのなら、そりゃモテるでしょうねぇ」


「性格が外道なのでモテないんですよ解説さん!

さて、今の発言、お2人ともどう思いますか?」


「えーっとまぁ、嬉しいですねー!アハハハハハハハ」


「ま、まぁ、女子力も高くないとやっていけないっすよねー!アハハハハハハハ」


「(よくやった向日葵!他んところの奴らから料理を奪って正解だったな!)」


「(へ、こんくらい向日葵ちゃんなら朝飯前だよwwwww)」


「あ、向こうのケチャップ地獄に気を取られて聞いていませんでした!

ですがもう一度聞くと時間がかかるので聞きません!

さぁて、お次は、Mr.全知全能選手です!

な、なんと、6つの腕で3つの料理を同時に作っております!

しかも本体はその場から全く動かない!

とても卑怯な戦い方です!どう思いますか?解説さん」


「おお、すげぇ!噂には聞いていたが、会うどころか、見るのも初めてだよ。

本体は真剣な眼差しで、ずっとそこに突っ立っているだけなのは、どこか職人らしさがあるねぇ。

まるでタコだ!こりゃ期待できるよ。完成が楽しみだね」


「褒め言葉の連鎖です!もしかすると、優勝は彼になるかもしれません!

これは酷い!

あ、なんとここで、時間切れです!手を止めてください!

では、完成した料理を、審査員の3人に食べていただきましょう!

まずは、ダンスコックマン選手の、オムレツ風牛丼です!

お味はいかがです?」


「美味い!これは、どこの牛丼屋でも思いつかないだろーな!

久しぶりにまともな料理を食ったぜ!合格!」


「ふ、三葉虫ほどではないが、我には、これが美味だということがわかる。

この世界のどんぶりは、我の舌に合うな!合格以外に選択肢はない」


「うん、美味しい。……合格」


「ありがたき幸せの2乗」


「ダンスコックマン選手、見事合格です!

お次は菱木 椛選手と宮本 向日葵のペアのショートケーキ牛丼です。

見た感じクソ不味そうですが、お味はいかがですか?」


「うん、美味い!デザート用のチーズみたいな印象だな!甘塩っぱい感じがいける。

モン星の牛丼がいかに手抜きかが嫌になるほどわかるわ」


「我が口に広がる旨味、白く美しき見た目、究極の至福に変わらない。合格」


「うん、美味しい。……合格」


「(よっしゃぁぁ、さっきそのまんま盗んだ料理が合格したぜチョロすぎだろアッハッハ)」


「(これで賞金は向日葵たちのもなだねwwwwwwwwwwwww)」


「お2人とも合格です!

さて、お次はまめでんきゅう−ねこ選手の担々風牛丼です!

ご感想をお願いします」


「は?…… 担々風?……ざけんな。こんなん星でヤバいくらい食ったわ、いらね」


「我が求めているものは、未知なる料理。だが、これは闇だ。失格に値する」


「うん、美味しい。けど、失格」


「ぇぇぇぇぇぇぇぇぇ⁉︎⁉︎な、なんでよ⁉︎

ってか、そこの向日葵?選手と椛?選手、さっき人をボコして料理と食材盗んでたよ⁉︎

なんで真面目にやった僕が落ちるの⁉︎」


「真面目にやろうが、適当にやろうが、大事なのは味だ。

テメェのくだらねぇ私情しじょう市場しじょうに持ち込むんじゃねぇ」


「おお!ミノタウロスさん、さすが現役クレーマーです!キツい罵声を浴びせます!

他の方は何かコメントありますか?」


「美味とは斬新さである。だが、お前の料理は斬新さなど、微塵もない」

「だってよ………まめでんきゅう−ねこ」


「え、アノマロカリスってなろう系の人だよね?1番斬新さなんてないじゃん」


「は?大量絶滅ダークネスエンドを発生させてやろうか?」


「すいませんでした」

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