第5話 スプラトゥーンで負けたら主役交代!後編(カニクリームコロッケ)

「はい、じゃあ早速やってくぞ。バンガラマッチ。

ルールはガチアサリ。内容は、ステージ全体に散らばっている小さなアサリを8個集めて、ガチアサリという大きなアサリを作り、敵の陣地にある我々のゴールへ投げて、バリアを破壊する。

バリアが破壊できたら小さなアサリを投げてカウントを減らしていき、敵のカウントを0にした方が勝ちだ。

簡単に言うと、宝探しとサッカーとバスケットボールの融合したやつだ」


「誰に説明してんの?」


「お前らの読者に決まってるだろーが!あ、お前が使ってたカーボンローラーで戦っていいからな」


「マジ?じゃあやろうか。僕が敵をどんどん倒し、カウントを0にしてあげるよ。

まぁまずはアサリを集めるよね〜。ちゃんと勝利に貢献しなきゃね。

おっと接敵!けどカーボンローラーなら負けないよ。

カーボンローラーは、美術の授業で使ってたあのなんか、色塗る時に使うローラーみたいな感じなんだけど、他のローラー武器と違って、めちゃくちゃ軽いんだよね。

ほら、もう倒せた。どう?」


「そんぐらいXなら当たり前だろ!はよ前線行ってアサリ投げろ!」


「わかったわかった。

カーボンローラーはやっぱ縦に振って攻撃するのが、気持ちいいよね〜。

ただスプラやったことのある方ならわかるかもしれないけど、めちゃくちゃ嫌われているんだよね、このローラー。

強すぎただけなのに封印されてる感じがして厨二心くすぐられるよね」


「多分そう思ってるのお前だけだぞ。あ、ほら敵来たぞ○せ!○せ!」

「あの、この小説そんな野蛮なこと使うと、あとで怒られそう。

あ、負けた」


「あーもう!何やってんだよ!そこは一旦引いて、不意打ちした方が良いに決まってるだろ!もうちょっと頭使え!」

「ごめんて。次頑張るから」


「戦況は常に変わっている。同じことが1試合で2回以上起こると思ってるのか!」

「わかったわかった。……あの、もうちょっと静かにしてくれない?」

「テメェがうるさくさせる事するからだろーが!!!!!!」


「いや、こっちは普通にゲームしてるだけじゃん」


「テメェのような雑魚がいるから、俺みたいな成長するはずの人間が損するんだ!もうお前、主役だけでなくスプラ引退しろ!」


「えぇ⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎

ちょちょちょちょ!ちょっと待ってよ⁉︎な、なんでよ⁉︎」


「スプラトゥーンというゲームにおいて、雑魚は荷物!むしろ敗北へと導く可能性もある」


「スプラトゥーンの株が下がるよ……。あとこの小説も」

「こんな小説元からそんな評価されてねーだろ」


「酷くない?それ」


「あぁほら、敵来たぞ!倒せよ!早く!カーボンローラー軽いんだろ!」

「わかってるって。ほら、倒したよ」

「甘いな!もう少し早く倒せば、味方がやられず済んだのに!」


「君がごちゃごちゃ隣で言うから全く画面に集中できないんだよ!」

「ハァァァァァァァァ?X帯のくせに生意気だなテメェ!」


「君もXじゃん⁉︎」


「テメェX帯のくせに弱すぎだろ!なんでそんなに弱くて、Xまで行けたんだよ!

まさか代行者がやったのか⁉︎犯罪者め!犯罪者は牢獄に入る必要があるなぁ!

どうせXに行ったこと自慢してんだろ!全く、雑魚のくせにXで戦っていて…恥ずかしくないのか!勝利の泥棒猫!」


「今世紀最大の罵倒⁉︎」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「おい遅くないか?あいつ」


デメニギスたちはキッチンでまめでんきゅう−ねこを待っていた。


「もう予定から20分も遅れていますが…」

「先輩は時間を破る癖がありますが、こんなに破ったことなかったですよ」


「全く、まだスプラやってんのかなぁ?もう食材も準備できてるし、あとはあいつを待つだけだっつーのに」


「ちょっと様子を見てきましょうか」

「よろしく幽霊」


「あ、じゃあ僕も!」


幽霊と風がまめでんきゅう−ねこを確認しに行った。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


旨井造はまだまめでんきゅう−ねこに文句を言っていた。


「さしすせそんなに、よーわいーのかー!!!!!!」


「わかんないわかんないわかんないわかんないわかんない。

わかんなぁぁぁぁぁぁぁぁい!」


「歌ってる場合かドラ猫!

あ、リッター4Kだ!奴はスプラ界1の射程を持つからな!ここは影から攻めて、不意打ちしろ!」


「いや、カーボンローラーは高台の下から攻撃することができるんだよ!

これが原因で嫌われているわけだ!

高台の上からじゃ上手く攻撃できない敵たちは、僕のこの下から攻撃で粉砕!

これしてる時が1番気持ちいい」


「そんぐらいXなら誰だってできるわボケ!はよゴールにアサリ入れろ!」


「敵が横から来たんだって!」


「そんなん今度は高台の上から攻撃すりゃ良いだろ。

あーもう、なんでそこでやられるかな?

他の人なら倒してたよ?弱すぎだろテメェ。

本当にXなのか疑う」


「じゃあ君がやってよ代わりに」


「ダメだ。使い慣れたコントローラーじゃないといつもと同じようにできない」

「何のコントローラー?」

「Proコン」


「これProコンだよ?」

「ダメだ!今は!」


「結局自分は人に文句を言いたいだけじゃん。

人が敗北してるところを見て優越感に浸りたいだけでしょ。

ってかなんでスペシャルのことは言わないの?」


「え⁉︎」


説明しよう。スペシャルとは、必殺技みたいなもの。


地面を塗れば塗るほどゲージが溜まり、100%まで上がると発動できるのだ!


武器によってスペシャルは違うので、その武器に応じた対応をしなくてはならない。


「僕わざとスペシャル使わなかったけど、ほら、X帯の人ってすぐスペシャル使うじゃん?

けど君はなかなかスペシャルのこと言わないから、なんか変だなぁ…って」


「え、いや、その……」


「むしろスペシャルをなかなか使わないのは初心者が多いらしいんだよ、研究結果によると」


「え、いや、その、なんつーか、お、俺ってカーボンローラーあんま使ったことないからさ、わからないんだよね」


「にもかかわらず、あんだけ指示できたんだ。あんま使ったことないのに」

「え…………………」


「まめでんきゅう−ねこさ〜〜ん、料理企画の時間ですよ〜!

…………どちら様ですか?」


幽霊と風が、2人のいる部屋に入ってきた。


「えぇ、幽霊⁉︎漢字の風⁉︎」


「先輩、誰っすか、その人。……お知り合いですか?」


「なんか僕のスーパープレイ見せてくれって、頼まれてさ。なかなか終わらなかったんだ」


「そうですか。僕、すみませんが、この方は今から仕事なので、一旦休憩で良いですか?」


「い、いいさ!別に!………チッ」


旨井造は小さく舌打ちした。


「ありがとうございます。あ、スプラトゥーンしてて良いですよ」


「(この猫型ロボット、なかなか頭が良いな……。こりゃ口論じゃ太刀打ちできねぇ)」


旨井造は大人しくスプラを始めた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「じゃあ料理していきますか〜」


「なんで遅れたんだよ……」


デメニギスが何もしてないのに、くたびれたように言った。


「子供と遊んでた」


「隠し子か⁉︎」

「違うよ。ってか僕ロボットと猫が融合した存在だから……」


「いや、あんま生々しい表現はやめろよ⁉︎」


「今日は何作るの⁉︎」


「今日はカニクリームコロッケです」

「ほう、俺らみたいな庶民中の庶民でも作れるとはな」


「僕ら庶民中の庶民なの⁉︎」


「え、でもそこまで豪邸に住んでいるわけではないだろ」

「言い返せない……。

まぁとりあえず作るか〜。

まずズワイガニを用意してね」


「WHAT⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎

ちょ待てやおい、ズワイガニ⁉︎」


「そうだよ。確か深海に生息してた気がするよ。………もしかして知り合い?」

「この空気感なんなん????」


「流石に無理があるので、今回はズワイガニのカニカマで代用します」

「えぇ、庶民になりたくなーい!」

「もうなってるから安心しろ。

…まぁ、他のカニカマよりかはランクは上だろ」


「X帯?」

「スプラはむしろイカだ」


「カニクリームの基礎は、バターと玉ねぎにあるらしいので、まずは玉ねぎを倒すよ」


「半分に切るんですね」


「そしたら弱火でバターを30gくらい溶かすよ。

焦がさないよう適当に慎重にね。

溶かしたら玉ねぎと融合させ、また焦がさないように、混ぜるよ」


「めっちゃ混ぜるな」


「美味しそうな色になってきたら(適当)、牛乳を200g飲むよ」


「入れるだからな?飲んじゃダメだろ⁉︎」

「え、昭和の教師の考え方?」


「お前が料理中に牛乳飲むからだろ!」

「あ、何回かに分けて混ぜてね……………ちゃんと訂正してるの偉くない?」


「偉い人はまず料理中に牛乳飲まない」


「牛乳を混ぜたら、今度は小麦粉も何回かに分けて入れて混ぜてね。

ソルトとペッパーを入れて、いい感じにとろみがついたら、火を止めよう。

んで、そしたらカニカマを食べやすい大きさに割いていこう。

割いたら投入!ある程度混ぜたら、別皿に移して冷蔵庫で冷やすよ」


「どんぐらい冷やすんだ?」


「1時間」

「1時間⁉︎⁉︎」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


その頃、旨井造はまめでんきゅう−ねこのコントローラーで、スプラをしていた。


「くそっ、全然勝てない!チクショッ、俺がこんなに弱いわけないじゃないか!

Xだぞ!肩書きは!だが、全く前に出れない!

しかもアサリなんて、どこにもねぇ!すぐ拾われてしまう!

あぁ、また負けた!これで50試合中、50敗目だ。ァァァァァァァァァァもうチクショーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


1時間経過………。


「1時間経ったら割と形を保てるはずなので、この隙にコロッケを生成するよ!」


「丸い形にするんですね」


「まぁ緩い感じでやっちゃって良いよ。…………精神的な問題だからね?」

「形緩くしたら崩れるのは誰だってわかるだろ…」


「さぁ丸くなったら、メインの、揚げる作業だよ。

じっくり数分、揚げていこう」


数分後…………。


「よし、こんなもんかな」


「おお、コロッケっぽい見た目になったな!」


「これでカニクリームコロッケ!のはず」

「すまん心配にさせる癖やめてくんね?」


「バジルとオーロラソース(あればで良い)を乗っけて、完成!」


「俺が言うのもあれだが、なんか、お前にしてはできてると思うぞ」

「一言余計だよ?」


「先輩も成長しましたね〜」

「誰から目線⁉︎」


「……とまぁ、とにかく食べましょうか」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「おーい、旨井造くーん、スプラを見に来たよ〜〜!」


旨井造の家の前に、大勢のクラスメイトが来た。


しかし、旨井造は全く返事しない。

それもそのはず、この家に旨井造はいないから。


「……寝てる?」

「いや、約束を破るような人ではないだろ」


その頃、旨井造は……。


「ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァまただ!まただ!チクショーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!

………もう帰ろ」










彼が帰ると、家の前に大勢のクラスメイトがいた。


「あ、旨井造くん!待ってたよ!どこ行ってたのさ!早く見せて!」


「(そういやそんな約束してたんだ…………)え、う、うんわかった。

で、でも、一旦トイレ行きたいからさ、トイレ行ってくる……」


「はーい!」


終わりの始まり………。


この後、彼がどうなったかは、お察しください。

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