ブラックジャックって欲張るとすぐバーストするよね
みない
第1話
ディーラーから配られたカードを確認し、自分の勝てる確率を計算しながら、友人の戯言を復唱する。
「リスキーゲームか。なんでブラックジャックをやってる最中にそんな言葉が出てくるんだ?」
手札はクラブの八とダイヤの七この時点で合計十五。七以上のカードを引かなければ、勝てる。
「いまのお前の手札的には、スタンド一択だろうな」
カードの数字の合計が二十一になることを目指す。それがブラックジャックのルールだ。二十一を越えるか、ディーラーより数字が小さければ負けとなり、ベットしてるコインを取られる。
エースは一としても十一としても扱うことができるカードで、ジャック・クイーン・キングはそれぞれ十一、十二、十三ではなくすべて十として扱う。そのため、いまの手札であればカードを過剰に引くよりも、このまま止めるほうが勝つ確率が高い。ただカードを引く選択ができないわけではない。
「では、最初のカードを公開します」
ディーラーの二枚のカードの内の一枚が公開される。公開されたカードはハートのジャック。ディーラーは十七以上になるように引くと決められている。もし、ディーラーが二十一を超過した場合、プレイヤーは二十一を越えていなければ勝ちになる。
「全員のコールかスタンドか選択をどうぞ」
一人づつ手札の合計からカードを引くかどうか考えながら慎重に選択していく。
各人慎重に選択していき、自分の番になった。
「ダブルダウン!」
迷うことなくダブルダウン。一枚しか引けない代わりに、勝ち金を倍にすることができる。
「ばっかじゃねえの!」
となりで喚いている奴がいるが放置する。
六を引けば二十一ジャストになる。がそれだけではなく、階段ボーナスまで期待できる。
たとえディーラーのもう一枚のカードがエースだったとしても、ボーナスがあるからには、引くに越したことはない。スタンドしたほうが勝てる確率は高い。だからと言って引かないのは、プレイヤーとしての矜持に関わる。
配られたカードはハートの七。
「と゛お゛し゛て゛た゛よ゛」
引きたいカードを引くことはかなわず、バーストしてしまった。
「オレはコール。あ、六引いたわ」
隣にいた友人が欲しかった六を引き当てていた。
「嘘だ! そんなことあるか」
唯一の勝ち筋を共に奪われ、ディーラーがバーストしたことで、このゲームは一人負けを喫することになった。
ブラックジャックって欲張るとすぐバーストするよね みない @minaisan
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます