第13話 ステータス枠の色

【空間魔法がLv2になりました】


スキルアップの表示が流れると、周りを包んでいた光が収まり、見慣れない景色が徐々に色づく。


握っていたケルブの指が重みを増し、思わず手放してしまう。肘までしかないケルブの腕が足元に転がる。


焦ってリオを見るが、リオの体に欠損はない。


体の力が抜けて、リオに気遣いなから、その場にしゃがみ込み、周りを見渡す。


小高い丘の上

高く無い岩山が点在する一面の草原

草原の奥には、地平線と針葉樹の森、森の向こうには連なる山脈が見える、森の中からは川が流れ、地平線の彼方に伸びている。



草原には、馬、うさぎ、キツネ、蝶、蜂、カエルの姿が見えるが、こちらに敵意は見られない。


ケルブがこちらに殺意を向けた瞬間、ケルブのステータス枠が半透明の青から赤に変わったので、枠の色、少なくとも赤枠は敵意なんだろう。


こちらに飛んできた蝶の枠が黄色になり、通り過ぎると青に戻る。


黄色枠はこちらを意識している状態表示のようだ。


安全が確認できると、体中の息が抜けていく。

(じいちゃん、ばあちゃん)


膝枕しているリオの頭を撫でながら、もう会えない二人の事を考える。


(俺を拾って育てなければ死ぬ事なかった、俺のせいだ)


しかしあの声に助けられなければ、リオ共々殺されていた、ケルブの前で横に並んだリオの声、ここにくる方法を教えてくれた声、川に捨てられた時に聞こえた声は全て同じ、眩しく暖かい声だった。


今は声も聞こえない、リオもいつものリオだ。隣に並んで手を握り、話せるはずも無い言葉を話したリオのステータス枠の名前はエクシールになっていた。


リオの頭を撫でながら、


(エクシール、様、ありがとうございます)


あの状況で逃げられるチャンス与えてくれたのは神様に違いないと知識が教えてくれた。


じいちゃん、ばあちゃんが助からなかった事や、この場所やこの先が全く分からない事も神様ならなんとかしてくれれば良かったのにと思う所もあるけど、リオだけは守れた事に感謝する、きっと神様も万能では無いのだろう。


目の前のケルブの腕、スキルアップした二つの魔法、確認する事、考える事はたくさんあるけど、リオをこのままにしておけないし、折角守れたリオと生きていかなきゃならない。ケルブの腕の表示は青枠のままで、まだ生きているし、いずれまた襲ってくる。


リオを守りながら生き抜く事を優先に今できる事を考えなくてはならない。


強く強くならないと

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