私に日常をください

私に日常をください

どんなに頭がパニックになっても

それを一瞬でも忘れられたら

生きている意味を見出せます


私にアイデアをください

どんなに万策尽きても

その事実が覆えなくても

些細なことで笑えたら

生きている意味を見出せます


附属病院の高層ビルからの景色は

私を世俗から保護してくれているのだと

その寒空がやたら近くて 手に届きそうだった


帰路の暗がりが自分の暗い部分よりもずっと暗くて

自身の暗い感情が目立つことはなくそれらと同化するのだ


少し肌寒い雨の中 アパートの一室で

メガネが壊れて それを誰かが心配したから

思わず抱きしめて静かに泣いたのだ

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詩集:石鹸の匂い 汐崎ひかり @serori_c

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