第27話 ご飯は美味しい


 自分で自分を褒めるところがあるとするならば。食べ物が美味しいってちゃんと感じることができるところだと思う。

 ご飯が美味しいって、それだけで人生がうんと楽になる気がするから。

 それも高級なものでなくても良いというのが、高ポイントだ。

 ホカホカのご飯に大根おろしとなめ茸。豆腐をトロトロの卵でとじただけの丼。焼鮭にお湯で溶かすだけの味噌汁に納豆。卵かけご飯。

 あぁ、なんて美味しいんだろ!

 お金を節約したいのと、そう苦ではないので自炊率は高め。お惣菜部門で働いているだけあって、食い意地が張っている。

 それも安くて簡単で早く作れるレシピを幾つか定番として持っている。貧乏パスタシリーズは開発を重ねて、四種類あったりする。

 それもこれも、私のこの「美味しいなぁっ!」という感性からくるものだとしたら、とてつもなくラッキーな神様からの贈り物だと思う。



 真に幸運なことに、私は最もしんどい時期にあっても、この食に対する姿勢が薄れなかった。

 ご飯が美味しかった。食べることは幸せだった。子供と一緒に夕御飯を食べながら、あの子の話を聞くと安心できた。

 しんどい日々のなかで、この食事の時間が安全地帯にように、リラックスできる時間として存在している。こんな有り難いことはない。

 食べ過ぎてしまうことが問題だったが、そこは運動すれば良いと割り切った。

 あと、間食は基本しないようにしていた。お菓子は大好きなのだけれど、つい食べ過ぎてしまうので自作のクッキーとかだけにしていた。

 食べること、身体を作ること、循環させること。生きていく根幹に関わるそれを、幸福ととらえられる。

 この特性があることだけは、褒めていいと思っている。そして美味しいご飯を食べるために手を尽くすところも、また。

 世の中には自炊が好きではない人が、けっこういるらしい。お惣菜を売っていて気がついたことだ。

 ちなみに売っている身としては、適材適所でたいへん良いことだと思っている。

 共働きのお母さん、大丈夫、私達が愛情込めているから。存分に働いて、子供と遊んで、料理はスーパーマーケットにお任せを!

 皆、得意なところで頑張れば良い話なだけ。私はご飯関連が好きだから自炊しているのだし。

 あとスーパーのお惣菜って美味しい。私が働いているスーパーは煮物類が手作りだし、お弁当だって店内で炊きたてご飯をつめているし。

 賞味期限は短い(製造日=賞味期限)のだけれど、スーパーのお弁当ってなかなか健康的だと思う。私が働いているスーパーだけかもだけど(何しろお弁当だけでも十何種類あるので)。

 話が反れてしまったが、この食い意地が衰えない限り、自分はまだまだ大丈夫。頑張ることができそうだ、と、そう思える幸運だった。









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