第九章 新年早々
第48話 『金太郎電鉄』
金太郎電鉄……略して金鉄。サイコロやカードを使い日本全国の鉄道や飛行機でゴールする。そして、道中でお金を稼ぎ、そのお金で物件を買い、決算などを駆使して最終的にお金を多く稼いだ人間の勝ちというゲームだ。
「このゲームをあっくんと私とふゆの合計3人でやろうか。残りはNPCのさくま鉄人で……」
「最下位は一位の人の言うことをなんでも聞くで」
なんだろう。2人の曇りなき悪意が感じる。2人に協力されたらどうやっても勝てないのでは?
ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン。
家にチャイムが鳴り響く。
「見てくるね」
玄関を開けるとそこには、
「あけおめ!あきお兄ちゃん」
そこには、頭のアホ毛が目立つ、身長が小さい少女がいた。この子は、僕たちの甥っ子にあたる
「あけおめ。少し身長伸びたか?お義父さんとお義母さんは今いないよ」
「身長は変わってないよ。あと、お年玉欲しいな」
「あのなぁ。俺だってまだ、貰える立場なん……」
「ほ・し・い・な❤️」
「あけましておめでとう、あおいちゃん」
「あけおめ。あおいん」
「あけましておめでとうです。テレビに映ってるのは金鉄じゃないですか!私もやりたかった!」
「今からやろうとしてたんだ」
「あおいもやるか?」
これでちょうどよく4人でゲームをやれる。ごめんなさくま鉄人。
ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、チャイムが鳴り響く。
玄関を開けると、そこには少し不満げな二人の女の子がいた。
「来ちゃった」
「あの、さくらさんはなんで僕の住所知ってるの?」
「来ちゃった」
「いや、来ちゃったじゃないよ?」
「来ちゃった」
壊れたロボットみたいに同じこという。このロボットみたいになっているのは同じ図書委員で物収集系の変態、
「この気持ち悪い
元ストーカーが現ストーカーを気持ち悪いって言うの新鮮。自分がやったことは忘れたの?
「てか、とりあえず家入る?」
二人の女の子は笑顔で頷いた。
いつもなら広いと感じるリビングが、人数のせいか狭く感じる。部屋にはコタツとみかんがあり、家族4人で使う分にはちょうどいい大きさのコタツだ。
僕がコタツで落ち着いていると太ももの間にあおいが入ってきた。
「あおいちゃん?女の子がはしたないからやめなさい」
それを制するはる姉。
「ここが良い!」
無邪気な女の子には勝てないようだ。
「熱くない?」
「うん。ここ気持ちいいよ」
いかんせん。位置が悪い、心を落ち着かせるために大きく息を吸って深呼吸をする。シャンプーの良い匂いがする。
「人数多くなったね。金鉄は4人までだしどうする?」
ふゆ姉は悩んだ表示を浮かべる。そこにはる姉が、
「やはり、ここは
「あおいはお兄と一緒にやる!」
その発言を聞いて僕は提案する。
「はる姉とふゆ姉の二人が一つのキャラを交代でプレイして、僕とあおいも同様に一緒にやって、あとはさくらさんと、クレアでそれぞれ一つのキャラをやろう」
「地名とか分からないからあきとやりたかった」
クレアがそう嘆く。
「ゲームのサポートで矢印とかあるし、四択のクイズとかはたしかに不利かも。なら、さくらさんとクレアで一緒にやる?残り一人はNPCのさくま鉄人で」
そんなこんなで振り分けが行われた。姉二人チーム、僕とあおいチーム、クレアとさくらチーム、さくま鉄人の4人でやることになった。ワンプレイしたらコントローラー交代してやっていく方式だ。
この振り分けをしたのは、姉二人を一緒にする事で意図的に僕を最下位にさせられるのを防ぐ目的だ。罰ゲームが続いているのかどうかは定かではないが。
「はる姉?罰ゲームはなくなったで大丈夫?」
「そうそう。罰ゲームは最下位には一位の人を言うことをなんでも聞いてもらうから」
聞かなければよかった。はる姉は普通に忘れていたみたいだ。
最初は姉二人ペアがクレアとさくらペアに意地悪をしていた。途中から可哀想になったのか、さくま鉄人を借金地獄にしていた。
自分もあまり恨みを買われないように悪い効果のカードはさくま鉄人に押し付けたりなどもした。心なしか、あおいがいる影響か意地悪される頻度は少なかった。
一時期はさくま鉄人の借金をどれだけ増やせるかそれが見ものになっていた。それくらい借金は膨らんでいた。
「男なら四択クイズ出されても一番上でしょ」
「日本全国に路線ありすぎでしょ」
「スリされた!」
「そのカードズルくない?」
そんな楽しい時間は過ぎていく。結果は……。
「さくま鉄人が徳政令で借金をチャラにしてキング借金取りを私たちに擦りつけてきた」
最後数年のさくま鉄人の動きが凄かった。借金を返して5回連続ゴールを決めて、他人には悪い効果を付けるキング借金取りを全員に付けさせるような動きを決める。挙げ句の果てにはお金を全員からむしり取るカードまで使う。
最終的には借金地獄だったさくま鉄人がいつのまにか一位になっていた。
勝負は最後まで分からないがみんなが思ったことがある。
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