第47話 『Overcooking2 』

 

「皿洗い!手が足りない」


「注文が溜まってきた!まだ肉焼けないの?」


「今焼いてる!クレア食材を変なところに投げない!」


 僕たちはふゆ姉の部屋で『Overcooked2』というゲームを遊んでいた。


 ゲームは指示を出された料理を作っていくのだが、工程が沢山ある。切る、焼く、盛り付ける、配膳、皿洗いなどを如何に効率よくやるかがメインのゲームだった。


 数をこなしていくうちに、役割分担出来ていくと楽しいゲームだ。


 部屋には、はる姉、ふゆ姉、クレアと僕がいた。その四人でプレイをした。


「なんでゲームの中でも仕事をしないと行けないのよ!」


 はる姉がキレた。普段ファミレスでアルバイトをしている彼女はこのゲームに楽しさを見出せそうにはなかった。


 ギミックは現実ではあり得ない構造など楽しませる要素は沢山あったが仕事みたいでいつもと変わらなかったのだろう。

 農家が『牧場物語』をプレイしてキレるみたいに。


「確かに面白い点もあるけど急かされるのは好きじゃないのよ」


 はる姉はそう呟く。


「てか、妹の友達のクレアさん?」


「ハイ?」


「あまり、あきにちょっかい掛けないでね?」


 クレアはハテナマークを浮かべる。


「私、日本語はよくわかりませんがあまり密な接触は避ければ良いのですね?」


 やっぱりクレアは完璧に日本語を理解している。


「そ、そうわよ。ただでさえ、ストーカー紛いの行動をしてたのだから」


「いえいえ、あれはあなたやふゆの弟さんがとても可愛いと聞いたので見に行っただけですよ」


 ファミレスでストーカー(?)していたクレアを伝えてくれたのははる姉だった。


「いやいや、あーくんは可愛いけどあなたみたいな変態ストーカーは危険よ。あーくんは可愛いけど……えへへ」


 はる姉少し素が出ているよ。それよりもクレアは大丈夫だろうか?結構強めの言葉を言われたけど……。


「”変態ストーカー”なんて甘美な言葉!」


 身体を身震いさせながら少し喜んでいる。こっわ、クレアこっわ。


「最終ステージ行くよー」


 ふゆ姉の言葉と同時にボタンは押されてゲームは続く。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る