第37話 『ペンソナ5』
音楽祭も終わり、ふゆ姉の部屋でゲームをする。
この『ペンソナ』は日本を舞台にしたゲーム。表では日本の学生生活満喫をして、裏では心の怪盗という義賊で世の中を世直しするゲームだ。
はっきり言って時間泥棒である。毎日やることがあり、キャラそれぞれにストーリーがあり親密度もある。
バトルはRPGだが、最近の操作するアクションじゃなく昔ながらの指示をして行動するタイプだが十分に楽しめる。
「ペンソナー!」
ふゆ姉の声で聞こえる。ふゆ姉もかなりハマっているらしい。
うちの家は、昔は任◯堂のパーティゲームで楽しんでいたがバイトを始めたふゆ姉はS◯NYの据置を二台用意したりしている。
理由は僕とやりたいかららしい。
嬉しいけど甘やかしすぎている。
「あっくんはどこまで進んだ?」
「最初のボス倒したところだよー」
「そっかそっか」
ふゆ姉はあらゆるところから集めた小ネタや良い情報を教えてくれる。
ふゆ姉は効率的にやりながら楽しむタイプだ。
僕はゆっくり気ままに楽しむタイプだ。
「でねでね。強いペンソナの作り方がね!」
「試してみるよ」
そんなことを軽口で言うが、ふゆ姉の早口で言った言葉の羅列は覚えきれない。なので聞いてないのと同じだった。
僕はまたペンソナを再開した。
すると、僕の首に寄りかかる物があった。突然のことでびっくりした。
「はる姉急にどうしたの?」
「最近、あーくんが遠くに行く気がして怖いの」
「何を言っているのか?僕はずっと家にいるじゃん?」
「あーくんが他の女と付き合ったこともそうだけど、私を女として見てくれないと思うの……」
すすり泣くような声が聞こえる。外では強いはる姉も家では弱いかも知れない。
「はる姉……」
はる姉はそんなことを思っていたのか……。
「僕ははる姉やふゆ姉を見捨てたりしないよ」
「じゃあ、彼女と別れてね?」
ん?さっきまでの泣いてたであろうはる姉の声にしては、とても元気な声をしていた。
「それとこれは違う気が……」
「ううん、別れてもらうから。大丈夫だよ、あーくんは何もしなくても、相手から別れようって言われるから!」
はる姉は満面の笑みをしていた。ゲームの中の主人公は人の心を改心させる力があるがその力をこのはる姉に使ってくれないかな……。
無理か。こんなことを考えるなんて僕も相当なゲーム脳だな。
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