第36話 音楽祭と寓話
音楽祭も全クラスの合唱を見るが、やはり三年の合唱は上手くそれに続いて二年生、最後に一年生という順番だった。
音楽祭は歌とは別に眠さとの勝負でもある。耐える!
文化祭が終わり。帰り道、裏口で男女がおり男が告白をしている姿があった。
「歌声を聞いてもっと好きになった付き合ってくれないか?」
合唱で個人の歌声を聞き取ることは出来るのか?内心疑問に思う。一応、上手い人や声に特徴がある人は別に聞こえたりするがそれなのだろうか。
その男の先輩に僕は見覚えがあった。この人ははる姉のLINEをしつこく聞いてきた三年の先輩の大神先輩だ。
告られている女性の人は知らない人だ。
「あなたみたいな誰にでも告白する人は嫌いよ」
「いや!俺本気だから!気分になったらいつでもいいからね!じゃねー」
男は悲しげな顔を浮かべつつも、軽い口調で彼女に言う。女性は軽蔑した顔で去っていく。
「よお!あき!見てたのか!」
「たまたま通りかかって、見てしまってすいません」
「いいよ、その代わり可愛い女の子いたら教えてくれよな。LINEと一緒に!」
苦笑いを浮かべてその場をやり過ごす。紹介する気は満更ない。この人、さっき「本気だから」とか彼女に言ってなかったか?
「そういや、はるさんと仲はとり持てるか?」
「辞めといた方がいいですよ……」
僕は本心を言う。
「ダメかー。じゃあ、突然だけど俺が男もイケるって言ったらどうする?」
「あきに手を出したら殺すからね?大神先輩」
そこにはる姉が忽然と現れる。いつも通りの笑顔なのに言うことがえぐい。
「はる姉言葉!」
どこからともなく現れたはる姉にびっくりするが、同時にナイスタイミングだとも思う。
「ジョーダンだよ、後輩たちよ」
大神先輩にも怖じけず言うことが出来るのは凄いが、言葉使いどうにかならないのかな。
「あと私たちこういう関係ですから!」
大神先輩がいる前ではる姉と僕はキスをする。先輩は見れるだけ得!って思っているのかめちゃくちゃ見てくる。
「お前たちそういう関係だったのか……広めとかないとな」
「ちょっ、大神先輩!?はる姉も!」
「はい、よろしくお願いします!どんどん言ってください!」
最近のはる姉の暴走が止まらない。どうしてこうなってしまったのか……。
ちなみに後日談を言うと、その先輩の誰にでも告白する性格から品行方正で厳格な
狼少年みたいなだなと内心思った。
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