第35話 カラオケ
三大行事の体育祭、文化祭そして、最後の音楽祭。
放課後に練習をしたりサボる男の生徒もいるし真面目にやる人もいる。僕はたまに出たりしてからサボるから完全に出てない人よりは怒られない。
歌詞と音符が載った楽譜を貰って練習をするが僕は正直に言うと歌うのは苦手だ。
「あきくんはアルトね!」
ソプラノ、アルト、テノールがあるが僕は中音域の声らしく、低音ではないらしい。しかし、僕はクラスメイトの音楽が出来る人たちみたいに声の音域が分かるわけではない。
1オクターブ下げてとか上げて言われても分からないので嫌いだ。
「あきくん声高いから、私たちのところのソプラノに入る?」
「いや!あきくんはアルト!さ!パートに分かれて練習始めよっか!」
いざこざがあるけど僕はアルトで練習をする。
放課後の教室での練習が終わり帰ろうとする。
「あきくん!カラオケ行かない?」
あれ?昨日、
「カラオケ苦手だから……てか、怒ってないの?」
「なにが?私はあきくんをぶってないよ?」
彼女は不思議そうな顔を浮かべる。覚えてないの?あまりの出来事の多さに記憶ショートしたの?
「とりあえず行こっか」
そういって駅前の安いカラオケ屋さんに連れて行かれる。
彼女は慣れた手付きで受付と話す。
「あきくん?学生割引使うには専用アプリを使わないといけないんだけど……アプリの登録してくれない?」
「いいけど……」
僕は
「メールアドレスと学生証出してくれない?」
僕は2段階認証のメールを登録して、アプリをゲットし学生割引を使う。
その間、
「新品のマイクは使えませんかね?予備とか買い取りますから! 」
「それはちょっと……」
「ダメですか……わかりました。あ!あきくん終わった?じゃあ入ろっか」
僕たちはカゴに入ったマイクをもらい指定された部屋に向かう。
「こういうのあまり行かないからわかんなくて、ごめんね」
「ううん、全然いいのよ!」
ドアの前に着き部屋に入ると狭めで暗かった。
「じゃあ、あきくんはこのマイク使ってね」
僕は
「おかしいな……なら、もっと口元を近づけて息とか吹き込んで見て! 唾がとんでも大丈夫だよ!私はもう一個あるし!」
僕は言われた通り、唾が飛ぶくらい息を吹き込むが音が出ない。
「充電切れかも……そのマイク取り替えてくるね。私のマイク渡しとくね」
「いや、悪いよ。自分で行ってくるよ」
「あきくんの練習にもなるんだから!先に曲入れて?お願い!」
悪いと思うけど
「ごめんね!あきくん待たせて。取り替えてきたから、やろっか!
二人が持つマイクはちゃんと作動した。そして、
「やっぱり自分の声が違くて嫌だな」
「わかるよ。思っている声と出している声のギャップは違和感だから慣れるしかないよ」
「
自分の声が聞こえなくなって歌いやすい。
「そっか!でもあきくんの声は大丈夫だよ。自信を持って!」
そのあと、
「じゃあ!じゃねー」
「うん、またね」
………。
あきくんの唾が付着したマイク……。
なぜ、私が持っているのかって?最初から新品のマイクを一本鞄に仕込んでいたのさ!
私が舐めたりして私の唾で上書きをしたら、意味がない!
やれることが限られているが……。心残りはバレるのを焦って少ししか付着できなかったことだ。
やっている時は心臓がバクバクするしバレたら確実に引かれる。スパイ映画の主人公が潜入する時の気持ちが分かったわ。
でも、今日は収穫物もあるし最高ね!
言い訳をするが、ビンタをしたのはイラついたのは確かにあった。しかし、彼の言い分は私とは生半可の気持ちで付き合えないということは嬉しかった。
恋愛テクニック本で距離を置くという項目がありビンタをして少し距離を置こうと思ったけどやり過ぎた。逆にもっともっととっと距離を近づかないと一緒に住んでいるはる先輩姉妹には勝てない。
あきくんが私と付き合わなかったことは意味が分からない。私以上に彼を愛している人はいないのに。
あきくん。こんなに愛してるだから、私も愛してくれるよね?
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