第六章 9月
第25話 準備期間前編
夏休みも終わりすぐ近くには文化祭がある。
文化祭の準備のために、文化祭一週間前から学校の授業がなくなり準備に専念する。
僕たちのクラスは射的をするのだが、準備期間中はクラス内の装飾をする。女子の真面目な人たちが夏休みの期間中に装飾を作ってくれたらしい。
それをクラスの男たちが壁などに貼り付ける。適材適所かもしれない。
夏休みの期間中に、ふゆ姉から彼女を作れとの命令があってから夏休みが終わり何も進んでいない。
実際に僕には彼女ができたことがないから、作り方はわからない。
あのストーカーの金髪の女の子と付き合うのは少し怖い。それにはる姉の勘違いかもしれない。
すると学校の人を探すべきなのか。
「あきくん、大丈夫?」
そんな僕に話しかけてくれるのはさくらさん。この人と夏休みの期間中に色々あった人だ。
「大丈夫だよ」
そういって僕は準備期間中のクラスを抜けて、他のところに行く。すると、
「あ〜き!な〜にしてるんだ?」
そう話しかけてくるのは、三年の図書委員長だ。最近知ったが、この人は
「先輩こそ、なにしてるんですか?」
「ひ み つ」
どーせ、サボりだろう。僕は内心そう思う。こんな大変な準備期間に誰もいないところに来るなんてサボりとしか思えない。なんとなく気持ちがわかる。
「先輩は彼氏いるんですか?」
「なんだ、あき。私と彼氏彼女の関係になりたい?」
いや、ありえないな。この人はないな、毎回仕事サボるし、なにかと手を焼かされてきた。
「なる方法は聞きたいです」
「じゃあ、飯を奢ってくれ」
この人ダメだ。どうしようもないほど屑だ‥‥‥。後輩に飯をたかるなんて、でもこんな人の話を乗るのも悪くないな。
「いいですよ。どこ行きます?」
「サイゼ!」
僕たちは学校を抜け出して、駅前のサイゼに行った。
「私はこのたらこパスタとドリンクバー」
「僕はミラノ風ドリア、ドリンクバー」
なんでか、彼女の作り方講座から今は先輩の愚痴を聞いていた。
「私が今年の夏休み、男に告ったら振られた」
「最初から結構なことをカミングアウトしますね」
この人、彼女の作り方を教えるとか言いながら失敗してない?
「最初一年はどうでもよかった相手なんだけど、二年になるとこの関係に焦りが来て何も出来ず、最後の三年の夏休みに告った」
この人結構、純情だな。
「長かったんですね」
「そういや、なんで急に彼氏彼女の話を持ち出しんだ?」
自分の次女のふゆ姉に夏休みに彼女関係を解消する代わりに別の女性の彼女を作れるっと言われたことを説明する
「姉貴変わってるな。それでおまえは彼女作りしてるのか」
「あの彼女の作り方は?」
「いや。もう、私の彼氏でしょ」
「え?」
「飯を奢って内心のことを暴露して、もうこれは彼氏彼女だろ」
超理論やめてくれ。あれーーでも先輩が言ったことは飯を奢れば彼女になるよってことか?
「いやいや、二年以上思ってた人の感情は?」
「振られたし、くよくよ悩んでいてもしょうがない。逆にこの私を逃したのを後悔させてやる。それにあきは容姿が良いからな‥‥‥」
容姿を褒められるは素直に嬉しい。
「私を振った人や周りにいる女の自慢になる」
めちゃくちゃ打算的な考え。しかし、僕も打算的な考えで人と付き合いたかったから合っているのかもしれない。
「じゃあ、よろしくお願いします」
「やけに素直だな。とりあえず学校に戻るぞ。怒られたくないし」
打算同士が付き合い始めた。
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