第22話 彼氏と彼女

 

 《 「彼氏とマリコカートなう!」 》


 ふゆ姉のTwitterのゲームアカウントで呟く。報告早くない?


 負けないぞ!っと心に決めたけど結果は、ふゆ姉のぶっちぎりの独走だった。先程までは妨害に徹してたふゆ姉だが実力を出すと完璧なコーナリング捌き、妨害アイテムを完璧に当てる能力、アイテム運にも恵まれていて他を許さないくらいに圧勝だった。

 

 そんなふゆ姉のTwitterでコメントをすると、見知らぬ人から沢山の反応コメントが来る。


 《 「おまえ、女だったのか?」 》


 《 「中身、ゴリラ把握。だって、あんなゲームプレイするやつが‥‥‥いや、言わないでおこう。」 》


 《 「彼氏さんやめとけ、こいつとは付き合うな」 》


 ふゆ姉へのコメントは散々だった。ふゆ姉‥‥‥ネットゲームでなにをしたの?


「あーくん」


 ゲームで負けて涙目になるはる姉。


「はいはい、交流禁止ですよー」


 そんな横暴とも言えるふゆ姉に僕は言う。


「ふゆ姉はゲームで人と付き合うかどうか決めていいの?」


「あっくん‥‥‥」


 ふゆ姉はなにかを考える。これは、説得できたか?


「いいんじゃない?」  


 僕は肩を落胆する。


「僕がこの状態のふゆ姉のことを本気で好きになると思う?」


「最初はみんなそんなもんよ。これから、本気でなればいいし」


「むぐーー! むぐーー!」


 交流禁止令が出されているはる姉は、声にならない声で反対する。

 そんな光景を見たふゆ姉は、一呼吸置いて提案する。


「じゃあ、私との関係を解消するために一つ条件があるわ」


「なに?」


「だれか、私たち姉二人以外の女性と付き合いなさい。それが、約束できるなら今の関係を一旦解消するわ」


 ん?何を言っているの?このゲーム脳。現実まで侵食され始めたか?だれに何のメリットあるん。実は僕と付き合いたくなかったとか?


「な!なにを言ってるの?ふゆ!!」


 とてつもなく抗議をするはる姉の口元に手を抑えるふゆ姉。


 ゲームなのにこんな大事なことを決めていいのだろうか。しかし、やると言ったふゆ姉になにを言っても仕方がない。


「わかった、それでいいよ」


「なら、私との彼氏と彼女の関係はリセットね?」


 ーーーー。


 《 「もぅ、マジ無理。彼氏とゎかれた。ちょぉ大好きだったのに。体に刻み込んじゃう。もう‥‥‥マリコしよ」 》


 ふゆ姉‥‥‥Twitterに投稿するの、早いな。てか、さっき口頭で聞いたわ。


 《 「メンヘラ把握」 》


 《 「ネタでももうちょい面白いの投稿してくれ」 》


 キレるふゆ姉のTwitterレスバトルはこれから始まる。


 






 ーーーーーーーー。


「なんで、あーくんにあんなことを言うのよ!」


「彼女ができたら‥‥‥」


「いいじゃない、彼女ができても。私はモテている人と付き合うのは好きよ。それにリードされて欲しくない?」


「で、でも」


「あと、あっくんと交流禁止も無くなるから思う存分交流してね」


 それでも不満のお姉ちゃん。


「最後の最後で私たちの元に来ればいいじゃない? あっくんには色んな人と関わって人として成長してほしいの」


 文句を言い足りないはるだが、それでもその言葉を聞いて不満垂れながら納得する。最後に私たちの元に来れば良いで合意したのだろう。



 あっくんはもっともっと色んな人と関わり持って、人として良くなり成長したところを私が食べる。悪いけど誰にも渡さないよ。



 だから、今は離す。他の人と付き合うのは結構だよ。人生経験だもん、その経験があっくんを成長させるのだから。

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