第21話 『マリコカート』

 マリコカート、世界的有名な姉妹がそれぞれ独自の世界観のコースでカートレースをするゲームだ。


「もぅ、マジ無理。彼氏とゎかれた。ちょぉ大好きだったのに。体に刻み込んじゃう。もう‥‥‥マリコしよ」


「なに言っているの?ふゆ姉」


 ネットで有名なメンヘラコメントの一部をゲームに変える。


「メンヘラだよ」


 本当に何を言っているかわからない。てか、メンヘラ要素をアップデートするな。メンヘラってなんだっけ?とか迷走してるから。


「さあ、勝つわよ。あーくん!ふゆ!かかってきなさい!」


 そういってはる姉はレースを勝つ気満々である。


「マリコカート!マリコやっふーー!」


「ルイーミ、もう永遠の二番手とは言わせない」


「じゃあ、僕この恐竜のヨッツーで」


 レースが始まると白熱のバトルが始まる。ふゆ姉がはる姉に妨害アイテムを当てまくる。


 周回遅れでアイテムを厳選してそこに通りかかる二週目のはる姉にふゆ姉は妨害をする。


「なにするのよ!ふゆ!」


 陰湿だな。僕はそれを横目にカートで横を通る。


「ゲームは楽しまなきゃ!」


 そう言って、ふゆ姉は12位でビリながらもはる姉に粘着していた。11位のCPUが三週を終え強制的にレースは終わりふゆ姉は12位だった。終始、はる姉に妨害をしていた。


 妨害をするたびにふゆ姉から笑い声が溢れる。


 そんな、ふゆ姉はレースに負けるが気持ち的には大勝利で1戦目が終わる。


 ちなみに僕は一位だった。


「2戦目はなにか賭けてレースをしましょう」


 そう、ふゆ姉が提案する。


「なにをかける?」


 乗り気のはる姉、とてつもなく嫌な予感がする。


「上位1名が、ほかの2名をなんでも言うことを聞かせられる」


「いや、それはなんでもやりすーー」


「乗った」


「2対1の多数決で、決まり!」


 僕たちの揉め事は多数決で決まるが、まあ、これで困るようなことにはならないだろう。


「私が勝ったら、あーくんを一日中連れ回してふゆはお留守番ね?」


 ん?


「いいの?そんな軽いので?私が勝ったらあっくんの彼女になるから。あと、お姉ちゃんはあっくんと積極的な交流禁止」


「そんなのずるい!私も変えるから」


「だーめ、一回言ったのは変更できませんー」


 そんな二人の争いを見る。これはなんとしても勝たないといけなくなった。

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