第24話 side木沢、三人目の泥棒

♦︎♢♦︎♢♦︎


「いないっすねー泥棒」

「たったの5人だぞ?そう簡単に見つかるかよ」


木沢は第二試験で通過した鬼陣営の内の一人、桜庭俊とペアになっていた。


「でもフィールドはそれほど広くないですし見つかるかなーと」

「隠密行動が得意なやつでもいんじゃねーの?知らんけど」


「てかお前が来てたことが俺は驚きだぜ」

「いや前々から言ってたでしょ銀星学園受けるって」


俊は木沢の中学に転校生として入り、木沢と友達になっていた。


「そっかー?記憶にねーなー」

「木沢さん人の話聞きませんもんねー」


「ってかその敬語とタメ口が混ざったような口調直ってねーな」

「もう癖ですから気にしないでください」


そんな雑談を二人が交わしていると木沢の背後に強烈な衝撃波が迫る。


「危ない!」

俊は木沢を手で強引に退かす。


「桜庭!」

俊は衝撃波で吹き飛んでしまう。


「パートナーを守る為に自分が犠牲になるなんて、ええ子やなあ」

「てめえ!」


木沢は突如現れたホッケーマスクを被った筋肉質な赤タンクトップに黒ズボンを着けた男を睨みつける。


「怪我しないよう調整したから大丈夫やでえ」

「関係ねえ!てめえ泥棒だな!?だったら俺とダチのために大人しく仮面壊させて

くれや!」


「それすると試験の意味がないやろがい!」

男が膨れているズボンのポケットに手を突っ込むと同時に木沢は距離を詰める。


「硬質化!」

木沢の全身が硬くなる。


「「おらあ!」」

木沢が拳を繰り出すと同時に男は金槌を木沢の拳に当てる。


「なっ!?」

(こいつ……なんてパワーだ!?押し返される……!)


「くっ!」

木沢は一旦距離を取った。


「今年の子は近距離が多いなあ、その分行動が読みやすいわ」

「ふざけやがって……!!」


「もくざ……わさ……ん」

桜庭が木沢に対して呼びかける。


「大丈夫か!?」

「ええ、た……だちょっと……異能を……」


「異能がどうした!?」

「悪いが……」


マスク男は金槌を縦に回転させながら投擲する。


「そういうのは他所でやれや」

「がはっ!?」


金槌は木沢の脇腹に激突した。


「さあてそっちの子、早くそのバトン渡してくれんかのう?」

「や……です」


「てか演技うまいなあ、そっちの子にも言ったけど怪我とかしないようにしたある

からそんな必死に振り絞るように声を出す状態にはならないんよ」


「あっそ」

俊は立ち上がり右足に電気を纏わせる。


「俺異能を使った移動がまだちゃんとできないんすよお、だから木沢さんには適当な位置で動かないように言おうと思ったんすけどまあ、いっすわ」


バチバチッ!と右足の電気が鳴る。

「んじゃま、させないように努力はしますんで、怪我には気をつけてくださいね」


「面白いのお、やってみいや」


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