第23話 side強兵、鏡の世界と帰還

強兵は栄と雑談をしながら周囲を警戒していた。


(今のところ泥棒らしき者は見えない、が警戒をするに越したことはない)


それから数分後、突然栄が強兵の前から姿を消した。

「栄君!」


強兵は瞬時に周囲を警戒する。

(泥棒か!?だとしたらいつ!?)


そして強兵の前に黒い目と口を持った笑う白い仮面をつけた男が現れた。


「誰ですかあなたは」

「……」


(沈黙……か)


「とりあえず泥棒っぽいので倒させて頂きますよ!」

そして強兵が駆け出そうとした瞬間、空から楕円形の鏡が無数に降ってくる。


「うおっ」

バリンバリンッ!と割れていく鏡、強兵は防御できずに足や腕に破片が何個も

刺さってしまう。


「いつっ!」


すると仮面男は両掌を重ね合わせ、縦に離し間に楕円形の鏡を出現させる。


「防御のつもりですか!」


強兵は右腕で鋭いパンチを繰り出すが、鏡に触れた瞬間自身の腕と全く同じ見た目の腕が鏡から出現し鋭いパンチを繰り出す。


「ぐふぉ!?」

強兵はそれを右頬に受け、5歩程度下がる。


(なんだ今のは!?攻撃反射!?)


「まずいな……」

強兵が攻撃手段を考えていると仮面男は一気に距離を詰め、強兵の顔に向かって

蹴りを放つ。


「さすがにそう……」

強兵は仮面男の足をガシッと掴む。


「何度も攻撃は受けません!」


そのまま後ろに振り向き目一杯の力で仮面男をぶん投げる。


仮面男はそのまま壁に激突、そしてピシッ、ピシッピシッという音が鳴る。


「なんだ?」

強兵が見るとそこには身体中にヒビが入っている仮面男がいた。


「分身かなにかなのか……?」


そして最後にはパリーンッ!という音と共に砕け散った。


「一体栄君はどこに……」


周囲を強兵が探索していると、小さな四角い鏡を発見する。


「なんだ?これ?鏡?」

強兵は数分間色々試すが尋常ないくらい硬いという事以外わからなかった。


「妙だな……」

強兵は呟いた。


(十分ぐらいここにいるが誰一人として来ない……それほど広くはないのにも

関わらず)


(気付かぬ間に仮面男になにかされたか?)


強兵は鏡を持ち上げる。


「この鏡になにか仕掛けでも……」

強兵の親指が鏡面に触れた瞬間、強兵は鏡の中に吸い込まれる。


「うおおっ!?」

そして数秒間視界が真っ暗になった。


視界が戻った時には先程バラバラに砕き散ったであろう仮面男の後ろ姿があった。


(どういうことだ!?だがこれはチャンス!ならば!)


「油断は禁物ですよ」

強兵は囁くことで仮面男の注意をこちらに向け仮面に強烈な一撃を加えた。


「頑丈な仮面ですね」

強兵は仮面の強度を賞賛した。

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